日本人が起業したKAMEREO、ベトナム飲食業界の未来に貢献
レストラン業界の成長に伴い、レストラン向け食材卸のニーズが高まっている。ここに目を付けた日本人起業家、田中卓さんが立ち上げたのが、ベトナム初となるBtoBの食材仕入れプラットフォーム『Kamereo』だ。
■成長するベトナム飲食業界、仕入れ面での課題
ベトナムの飲食業界は年間18%の成長を遂げ、2023年には現在の売上高の2倍、4,080億ドルの市場規模になるとみられている。
要因の1つに挙げられるのが2020年に中・高所得者層の人口が3,300万人に増えるなど国民の所得水準が上がったことだ。Boston Consulting Groupは、仕事の忙しさから外食の機会が増えている点にも注目している。
田中さんによると、ベトナムは零細規模の飲食店が多く、仕入れは主に各店のスタッフが市場まで買い出しに出かけ、時間と労力を浪費している。仲介業者に依頼する場合でも、品質や供給の安定性に不安が残る。
田中さん自身、2015年からPizza 4P’sの取締役としてベトナムで活躍した経験から、こうした苦悩を痛感してきた。その経験が2018年のKamereo起業につながっている。
Kamereoは中小規模のレストランが原材料を直接供給者から購入できるプラットフォームで、まず提供したのは、飲食店向けに肉・野菜・調味料・卵・チーズ・家庭用品など多様な品物を注文することができるシステムだった。
この中で、多くのレストランが注文数や品質、とりわけ野菜の仕入れ価格に頭を悩ませていることに着目し、仕入れ先を開拓し、直に各レストランへ届けることを決めた。
優秀なテクニカルチームを組織し、各レストランに必要な供給量を効率よく、迅速に供給できる供給網を確立した。
田中さんによると、同社が保有する倉庫はホーチミン市にあるわずか50m2あまりの倉庫1か所のみだという。最適な発注数と迅速な配達を徹底管理することで、在庫を発生させず常にフレッシュなものを届けることができるため、廃棄が出ることは稀なのだ。
さらに、サプライチェーンを確保しリーズナブルな価格で提供するため、顧客の信頼を得て、多くのファンを獲得している。
■コロナ禍で、B2Cへサービスを拡充
2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、KamereoはすぐにB2Cのサービスを展開すべく消費者がオンラインで食材を購入できるKameMartをオープンした。
元々のプラットフォームがあるため、同じように買い物代行サービスを手掛けるGrabやNowなどと比べ、KameMartは品質や価格面で強みを発揮した。
「食材の鮮度を保つために、注文の受付を毎日22時までにして、翌日にはお届けしています。お届け時間は9時~18時にして、お客様はこの時間帯の中から都合の良い時間を指定できます」と、田中さんは話した。
創業から2年、Kamereoを利用するレストランは古巣のPizza 4P’sをはじめ、El Gaucho・L’Usineなど400社を超え、リピート率も90%超と好調だ。
利用者のうち50%が外資系の外食チェーンであるのも、品質とサービスへの評価が高いことの証拠と言えるだろう。
(Nhip Cau Dau Tu 4月12日,P.28)
(2021/07/20 10:56更新) |