Facebook、違法広告掲載で公安から警告
情報通信省傘下の放送・テレビ・電子情報局は、Facebookが情報管理、ネット広告、クロスボーダー取引の税及び決算の3つの大きな分野においてベトナムの法律に違反していると発表した。当局は、問題の改善を進めるよう何度も要求しているが、同SNSサービスは様々な理由を挙げ、逃れている。
■違法広告と税金未納、Facebookの重大な違反
放送・テレビ・電子情報局は、Facebookがインターネットセキュリティー法、インターネットサービス及びオンライン情報の管理・提供・使用に関する政令第72号、及び国境を超えた公共情報提供活動の管理に関する通達第38号などに重大な違反を冒していると述べた。
公安当局は、Facebookに対し、国家や国の指導者を誹謗中傷するアカウントやファンページを削除するよう依頼をしたが、Facebookはこれに応じなかったという。
Facebook側は、こうした投稿を削除したり、ブロックしたりすることもあるが、その数を制限している。
公安当局は、「Facebookに対して、国家を誹謗中傷するページを48時間以内に削除するよう依頼していますが、実際に削除されるのは数か月後です。最近は、国家や指導者への誹謗中傷3,000件の削除依頼をしましたが、実行されたのは1年後でした」と述べた。
またFacebookは、ベトナムの法律で禁止されている商品の販売、広告掲載、サービス提供などを容認している。
武器、爆薬・火薬、人身売買、偽造品、野生動物、アルコール、賭博、売春などの広告掲載は、ベトナムの法律に違反するが、Facebookはこうした広告を掲載している。
Facebookは25億人の利用者をいくつかのグループに分類し、そのグループに合わせニュース竝L告を提供している。新たに作成された「政治広告」グループは、非常に大きな問題を生んだ。
アメリカでは、上議院議員2名が、この「政治広告」を禁止する草案を提出した。ベトナムでは、情報通信省がFacebookに対し、団体・個人を誹謗中傷するような広告を掲載しないよう要求している。しかし、Facebook側は「調査後、報告致します」という曖昧な返答をするだけだった。
情報通信省によると、「政治広告」は、団体・個人に影響を及ぼすだけでなく、国家の治安・安全にも大きく影響するとしている。
さらにFacebookは、ベトナム人から広告料を徴収するビジネスを展開しているにも関わらず、納税していない。
市場調査会社のANTS社によると、2018年のベトナムのオンライン広告費用は、5億5,000万ドルに上り、そのうちFacebook広告が2億3,500万ドルを占めた。ベトナムの同広告市場はGoogleとFacebookの2社が66.7%のシェアを誇るにも関わらず、両者とも全く納税をしていないのが現状だ。
■賭博・売春広告も承認
ベトナムのFacebook上では、賭博ゲームや売春の広告も散見され、こうした広告からも広告収入を得ているという。
Facebookは、健康食品、成人向け商品やサービスを表示しないと広告規定にはっきりと記載している。しかし最近は、このような広告が頻繁に表示されている。多くのニュースフィールドに、こうした違法な広告が表示されるという。
Facebook利用者のThuy Linhさんは、「これらの広告は、キーワードとなる単語の間に
特殊文字や記号を入れています。そうした言葉は非常に読みにくいだけでなく、大半が悪
質です。Facebookはこのような手法で精力剤の広告をアップし、広告収入を得ているので
す」と驚きを語った。
長年、多様な広告プラットフォーム業界で経験を持っているLe Minh Hiep氏によると、フェロモン香水、健康食品、治療薬の広告の大半は、Facebookの広告規定に違反している。
「掲載頻度の高い広告は、規定をかいくぐる方法があるのです」とHiep氏は述べた。
広告業界で働くTrong Nhan氏によると、「違法広告の掲載者は、信用性の高いFacebookアカウントを作ります。Facebookからの信頼を得るため、そのアカウントに多額の広告料を支払い、真っ当な製品の広告を載せるのです」説明した。
Facebookから信頼を得た後、そのアカウントを利用し、違法広告を載せ始めるのだという。
さらに、「違反となるキーワードは、隠された状態で表示され、スラングを使用していることもあります。同時に、Unicodeの特殊文字に変換されています」と教えてくれた。
「こういった商品の広告収入は高く、Facebookの信頼を勝ち取るため、最初にある程度投資をしても、掲載をしてしまえば、1日に数千万ドン(約数十万円)を稼ぐこともできます」という。
■対策のための時間稼ぎ
放送・テレビ・電子情報局は、複数にわたり公文書やe-mailを送り、正式にFacebookと話し合いを求めたが、拒否され続けている。
同局のある幹部は「違法広告を止められるのはFacebookの運営側だけなのですが、彼らは期限を定めて抗議をしても、期日をはるかに超え、初めて対応に乗り出します。Facebookは広告収入が主な収入源ですので、こうした違法広告の削除やブロックをしないということは、違法行為を間接的に幇助していることになります」と述べた。
「ビジネス面から見れば、ベトナムで数億ドン(約数百万円)を稼ぎ出しているのですから、その国の法律を遵守しなければなりません。彼らがベトナムに来て、しぶしぶ私たちと面会するのは、時間稼ぎをするためです。決してこの問題を解決する気はないでしょう。外国で経済活動をするならば、その国の法律を遵守しなければならないのです」と同幹部は強調した。
同局代表は、Facebookにベトナムの法律を遵守するよう要求するには、関係各所が力を合わせて進めていかなければならず、その中でも、特に税務局とベトナム国家銀行の協力は不可欠だと述べている。
情報通信省は現在も、Facebookに対し、ベトナムのインターネットプロバイダーとの協定の中に、ベトナムの法律を遵守するという項目を追加するよう要求している。
通信局によると、現在Facebookと協力しているインターネットプロバイダーは8社あり、ベトナムに約900台のサーバーを設置している。情報通信省は関係各所と協力し、Facebookのベトナムにおける商取引や広告に対する会計活動や税金の管理を進める予定だ。
(Cong an 1月10日,P4)
(2019/04/19 09:00更新) |