普及進まぬ農産物ECサイト、商品配送に課題
電子商取引(EC)サイトの需要が高まる中、ある企業が農産物専用のECサイトを立ち上げた。農産物のオンラインでの販売は、他の製品より難しいとされている。農家と消費者を直接つなぐメリットはあるが、配送コストや時間が課題となっており、普及を妨げる要因となっている。
■情報発信と共に農産物を販売
Ket Noi Thanh Toan Toan Cau社(GPC)は、農産物専用のECサイトを開設した。同社の「クリーン農産物プロジェクト」の一環だ。
GPCの公式サイトには、ECサイトを開設した理由について、「ベトナムでは農産物のオンライン販売がいまだ進んでおらず、多くの企業が同分野にあまり関心を払っていないため」と記載している。農産物関連のほとんどのウェブサイトは、農家が商品情報を投稿し、情報を発信しているだけなのだ。
そのためGPCは、ECサイトでの取引に焦点を絞るという。そのサイトには、製品を販売するだけではなく、農家に関する情報、農業の知識を共有するページでもある。さらに、農家が業者と取引する際に、他地域の同品種の価格を参考にするためのチャネルにもなる。また同社は、コストを最小限に抑えるため、ブロックチェーン技術を適用するという。
GPCのような農産物専門のECサイトは、目新しいものではない。他にも立ち上げた企業はある。
例えば、2016年7月、ホーチミン市にあるMuaHangViet.com.vnだ。同社は、消費者に高品質で安心安全な食品を提供するため、農家と企業を繋ぐことを目的にした。当初、Lam Dongとカントー2つの地域の製品を販売していたが、現在このサイトは閉鎖されている。
■配送料金とスピードがECサイトのネック
テレビ、電話、家電などを購入する場合、10万ドン(約500円)以上であれば、配送料が無料となる。
GcaEco.vnでは、Dong Nai省の農場で生産されるイスラエル起源のMayaキュウリを1キロ当たり2万6,000 ドン(約130円)で販売している。注文が入ると、ウェブサイトの受注担当者は販売農家に発注するが、商品の配送は第三者が行い、配送料は顧客が支払う仕組みになっている。
このキュウリを1キロ購入すると、配送料は商品の購入価格より高くなる場合がある。またホーチミン市から注文する場合、購入手続き完了後、配送に1日かかる。
パッケージ商品の配送料も安くはない。例えば、Vung Tauにある店のArabicaコーヒー(340g)は1袋あたり11万2,000ドン(約560円)で、ホーチミン市までの配送手数料は3万ドン(約150円)。購入価格の27%だ。Ba Ria ? Vung Tau省内の場合、配送料は1万6,500ドン(約83円)で、購入価格の15%。
キュウリ1キロ、コーヒー1袋なら、消費者は近所のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、市場でも購入できる。そのためECサイトで購入する際の配送料や配送時間は、購入をためらう要因となっている。
GcaEco.vnによると、少量購入の配送料は定額だが、大量購入は割引になるという。
ECサイトは、インターネット上で売り手と買い手を直接繋ぐことを狙うが、商品を少量購入する主婦層より、製造業者と卸売業者を繋ぐチャネルとしての機能の方がメリットが多くありそうだ。
(Sai Gon Tiep Thi 11月15日,P.8)
(2019/04/11 06:43更新) |