IT分野の受験生減少、人材不足と質低下が懸念
かつて多くの受験生を集めていたIT分野の人気が落ちている。
情報通信省IT局によると、情報通信技術(ICT)人材を育成する大学、短大は290校あり、2011年と比べ13校増えている。この分野の学生募集総数も2010年比で4,000人あまり増え6万4,796人。合格者数はこの85%。2007~2012年には、IT人材の育成を行う71校が設立されたが、学生数が多かった2007~2008学年度以降、学生数は徐々に減っている。
SaigonTechのNguyen Thi Anh Thu副校長によると、育成数は需要と比べかなり少なく、受験生もITに背を向けつつある。ホーチミン市情報学会の統計によると、Aptech、NIITといったIT育成組織の売上高もここ3年で年平均20%減少している。
毎年13%増える人材需要から情報通信省は、向こう5年で国内企業はIT、電子、通信知識を持つ41万1,000人の採用需要があると推測している。国家機関もプロジェクトの展開で短大・大卒以上の約1万5,000人を必要としている。しかし現在、全国ではIT人材を毎年6万人程度しか育成できていない。「2009~2012年に育成が停滞したことで、2015年以降にIT人材は不足するだろう。FPT Softwareでは毎年約1,000人の従業員が加わるが、大型大学3~4校による育成で、この数は十分に足りる」とFPT大学のLe Truong Tung学長は話す。
■育成の質を懸念
受験生が少ないながらも、ほとんどの学校にIT分野が設置されていることが、この分野の合格点が徐々に下がっている理由でもある。
Thu氏によると、ホーチミン市国家大学の同分野の合格点は2010年は15点だったが、2011年は14点に落ちた。ダナン工科大学のコンピュータ技術分野も、2008年の19.5点から、2012年は16点に下がった。ホーチミン市技術大学、Da Lat大学、Nha Trang大学、ホーチミン市経済・金融大学などほか多くの大学で、IT分野の受験生不足が深刻になっている。「合格点を下げることで質が落ち、卒業しても企業が求める業務に対応できない」とThu氏は懸念している。
(Thanh Nien)
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(2012/12/27 07:20更新) |