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コラム

パリジャンの営むヤギ鍋店


 「精」がつく、と言われるヤギ肉。メコンデルタの人々がヤギ肉を肴に飲むことを好むのも、こういった理由があるのだろう。カントー市には、街のあちこちに「ヤギ鍋」の看板が見える。

■フランス人経営のヤギ鍋店

 街で一番美味しい店、というわけではないが、この街の目抜き通り30 Thang 4通りには、街で最も風変わりなヤギ鍋店「Thanh Thuy-Christian」がある。風変わりなのは、コック兼ボーイが正真正銘のパリジャンであるということだ。

 彼の名はChristian、Thanh Thuyというのは妻の名である。Christianはかなり上手なベトナム語を話す。

 「ヤギ鍋店Thanh Thuy-Christianへようこそ」こう言って迎え、客がテーブルに落ち着くと彼は、「少しお待ちください。特製のヤギ鍋をご用意いたします」と伝える。Christianの言う「少し」は、ベトナム人のそれとは違う。2~3分後には、紅く焼けた七輪を持って出てきた。上には、芳ばしい香りのする土鍋、同時に妻Thanh Thuyさんが、茶碗や箸、野菜、酒を並べる。

 終わるとChristianは引き下がり、客の乾杯、そして箸が鍋を一巡りするのを待って、こう尋ねる「お口に合いますでしょうか」。

 客が褒めれば「ありがとうございます。どうぞごゆっくりお召し上がりください」と微笑み、何か意見があるようなら、メモ帳とペンをポケットから取り出し、書き留める。

 ただ、彼にフランス語で意見するのは、市内の大学のフランス語学部の学生くらいである。ここで彼らは本物のフランス人と、フランス語会話の練習をしている。そして、客から酒を勧められても、彼は丁寧に断る。「飲み屋をやっておりますが、酒は嗜まぬもので」。

■田舎娘に一目ぼれ

 この店を訪れる人は多い。旨くて安く、そしてやはり少しばかりの好奇心があるからだ。客は皆、なぜガイジンさんがカントーくんだりまで来て、庶民向けのヤギ鍋屋を営んでいるのか、その理由を知りたがる。

 Christianは客が少ないときには喜んで、田舎娘とのロマンティックな出会いと、この店を開くことになったいきさつを話してくれる。

 「一目ぼれだったのさ」彼の恋のエピソードは、こんな文句で始まる。

 Christianは、パリの中流家庭で生まれた。家族はみな教育に携わり、彼だけが料理・観光の道を進んだ。もともとはパリのレストランでコックをしていて、夏休みが来ると1人で外国に出かけ、その国の料理を楽しんでいた。

 2000年夏、Christianはベトナムを訪れた。Nha Trangの海がとてもきれいで、料理も豊富だと人に聞いたからだ。そのNha Trangのさんさんと陽射しそそぐ、海風が吹く白砂のビーチで彼は、“雷”に打たれた。

 当時知人を訪ねNha Trangに来ていたThanh Thuyさん。あるとき海水浴に出ると、なにやら見知らぬガイジンが自分の後をついてくる。はじめはそのガイジンを避けていた彼女だったが、結局はダンディなパリジャンの気持ちに、心動かされた。結婚式には、花嫁の家族しかいなかった。遠いこの国に、花婿の家族は、誰も来ることができなかった。

 結婚してChrisitianは、カントーに住むことを決めた。新妻と話し合い、調理用具を持ってきて、ここでフランス料理店を営んだらどうかと考えた。しかしカントーでフランス料理は馴染みがない。一晩考えその翌日、彼はバイクで街中を駆け回り、この地の人々が何を好んでいるのか見てみることにした。そして数日後に彼は、こんな結論を導き出した。「ヤギ鍋屋って、いつも混んでるんだな」。

 こうしてChristianは夕方になるとヤギ鍋を食べに出かけるようになり、店主と知り合いになり、作り方を学んだ。そして自分でヤギの肉や香辛料を購入し、自宅で作り、家族に食べてもらい、近所の呑み助たちにも協力願って、意見を聞いた。これなら良いと皆が首を縦に振ってはじめて、彼は店を開いた。

 営業のため、毎日毎日街じゅうの大学を回り、フランス語学部の教師や学生と知り合いになっては、店に来てくれるようお願いした。興味本位でやってきた教師や学生達が、最初の客となった。そして瞬く間に店は、夕方になれば呑み助が集まる場所となった。学生らがここを好むのは、オーナーが礼儀正しくひょうきんで、正しいフランス語を教えてくれるからでもある。ヤギ鍋店の経営が軌道に乗り始めたちょうどその頃、Thanh Thuyさんはハーフの娘を産む。

■息子がはまった「ヤギ鍋とやら」

 2年間Christianはヤギ鍋店にかかりきりで、故郷に帰れなかった。するとChristianの母親が、息子の顔が見たいとベトナムに1人でやってきた。

 そこで母が目にしたのは、狭苦しく蒸し暑いところでせかせかと料理を運ぶ息子の姿。「家族と一緒にパリに帰りなさいな。あなた達を養っていくぐらいできるわよ」母の言葉に、彼は何も言わなかったが、もう心はカントー、そしてヤギ鍋にあり、パリに帰ることも望んでいなかった。パリに帰ればまた雇われ、ここカントーなら自分がオーナー、そんな思いもあった。

 母がカントーに滞在しているあいだもChristianはヤギ鍋店を開き、妻にこの果物王国を案内させた。息子の妻の純朴で、愛らしい姿に母は心を軽くし、メコンデルタの真面目で素朴な農家の人々に、その考えを変えた。「あなたには、あなたの考えがあるんでしょう。もう止めないわ」。

 カントーに滞在しちょうど1カ月、フランス人の母親は、息子の変ったヤギ鍋を食べて、息子と娘、そして孫に別れを告げた。この10年の間にChristianは何度かパリに帰ることができ、そしてこの間に彼の両親、兄弟も、カントーに遊びに来て、Christianが虜になった「ヤギ鍋とやら」を楽しんでいる。

(Lao Dong)


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(2012/12/08 02:11更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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