ベトナムのセメント業界、輸出はアジア近隣国に展望
2007年から2008年上半期にかけて、セメントは特に南部で供給が少ない状況にあった。専門家によると、原因はセメント工場の分布が悪く、需要の予測が不正確だったためだ。しかし実際には、全国的に見れば需給バランスは取れており、多くの工場で近い将来、国内需要だけでなく輸出にも対応できると見られている。
2008年12月22日に建設省が首相提出した、2008年のセメント生産・消費報告および2009年計画によると、2009年の生産量は4,500万～4,600万トンで国内需要に対応でき、さらに2009年末から2010年はじめには品余りになると見込まれている。
一方Ha Tien 1セメント社のMai Anh Tai副社長は、建設工事の停滞や減少からセメントは2008年第4四半期から余り始めていると指摘する。セメント協会によると、2008年末から年間生産能力660万トンの6工場が操業を開始、2009年にはさらに17工場の操業が予定され、現在の国内年間需要4,000万トンに対し、2009年以降の年間生産能力は5,620万トンに達する。2010年には、年間生産能力1,400万トンに上る18プロジェクトで生産が始まる見込みだ。
インフラが未整備のベトナムでは長期的に見てセメント需要は大きい。セメント協会によると、中国での一人あたりのセメント消費量は約1,000kgだが、ベトナムでは約400kg。Holcimセメントの供給部門責任者Nguyen Quoc Yen氏は、今後数年の国内需要は大きく、現段階での輸出は国内市場の停滞による一時的なものだとする。
一方Ha Tien 1セメントのTai副社長は、経済後退が建設プロジェクトに影響を与えるため、2009年は業界内での競争が一層激化すると見ている。そのため生き残りを望むなら輸出を視野に入れておかなければならない。
急速に拡大する業界に対し、建設省は大手メーカーに安定輸出ができるよう早急な市場探しを求めている。Ha Tien 1社では、現在は生産余剰は出ていないが、余剰が出た際の予防策のひとつとして、バングラデシュ、カンボジア、アフリカなどの国への輸出機会を探っている。
Holcimセメント社のYen氏は、欧米といった大市場はタイがすでに手をつけており成功は得にくいとする。クリンカー生産でも中国がアジアトップだが、輸出量はタイが最も多い。Yen氏によると、タイのクリンカーはベトナム製品より安価で高質なため、競合しても勝つのは難しい。現在南部のメーカーがタイからクリンカーを輸入しても、北部のものより10％安く手に入るのだ。同氏は輸出が見込める市場として、カンボジア、ラオス、スリランカ、マレーシア、シンガポールを上げている。
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（2009/03/04 07:12更新） |
