ベトナム:売り手労働市場で女性が抱える悩み
外資企業で働く若者は、以前は数百ドルの給与で満足していたが、現在は売り手市場となり、才能ある若い女性が自分の可能性にかけるためのチャンスも増えている。
6月は通常、外資企業で人材の動きが激しくなる。新しい仕事を見つけたり、昇給や昇進ができなかったり、より魅力的なほかの会社から誘いを受けたりして退職する人が少なくないからだ。某人材企業の採用専門家Trong Hoangさんは「現在中間管理職のよい人材を探したければ最低1,000ドル。それ以下なら『また連絡します』と微笑まれるだけ」と言う。
5年ほど前は、300ドルあれば中間管理職にとってよい給与だった。しかし現在人事や総務部門の部長職は月給1,000ドルが提示され、経営、マーケティング、IT分野ではその1.5~2倍だ。
外資企業で人事部長を経験したTさんはこう言う「前の会社はとてもよかったのですが、5年間仕事をしていた間の物価上昇に比べ昇給が遅くて。あるヘッドハンターが会いに来て3つの企業を提示され、仕事内容は同じですが、給与が元の職場の2倍の今の会社を選びました」。
現在のように良い人材が不足している中で、女性たちは女性の強み――従順で繊細、聞く耳を持ち、労働者の気持ちを理解し、適切に転職をくいとめる――を生かして人事部長職に招かれるようになっている。
近いうちに外資企業の中・上級の人材不足は一層深刻化すると予想されている。ヘッドハンターのTrangさんは、「優秀な人材が提示する条件は高くなっています。彼らが書類を出して採用を待つ必要はなく、こちらから何度も足を運び説得しなければなりません」と言う。
人材市場は売り手市場――ここで若い女性たちは新たなチャンスを迎えているが、彼女らは仕事が落ち着くと、また別の困難にぶつかっている。
外資企業で10年働いているVanさんは「外資企業で働く女性は、男性より多くの困難にぶつかります。現地人という理由で給与で差別され、既婚ならさらに大変。緊急事態でも、上司に理解してもらえません。以前子供が熱を出したので早退を願い出ましたが、その時上司は『何事も計画的にやらなくてはだめだ』と言ったんですよ」と話す。
外資広告企業のクリエーターTuyetさんは別の悩みを抱える。「夜遅くまで残業しなければならないとき、私の彼はしかめっ面で待ち、『仕事を変えるか、別れるか選べ』と言います」。またVさんは、将来の義母に「たった3年で4つも職場を動くなんて、仕事に忠誠心のない人が夫に終生連れ添うことなんてできるのかしら」と言われたそうだ。Vanさんが懸命に説明しても、将来の義母は聞く耳を持たない。
「まだ愛していないならゆっくり愛し、愛したのならゆっくり結婚、結婚したらゆっくり子供を」というのが外資企業で働く多くの若い女性が直面する状況だ。外資企業の一部は女性を受け入れることに難色を示すため、女性が自ら、一定期間は子供をつくらないことを約束し、雇用者を安心させなければならない場合もある。「子供をとるか、仕事をとるか」の選択を迫られている人も少なくない。
(Phu Nu Chu Nhat) ※『ベトナムニュース The Watch』のご案内※
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(2008/08/20 05:35更新) |