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消えゆくベトナムメコンデルタの足


 そのセロイ(バイク式三輪タクシー)運転手は「もうすぐコイツともお別れ」と悲しそうに言った。2008年1月1日から、セロイを含む自製車両の公道での走行が全面禁止される。

 2年前、私は彼のセロイに乗った。古いホンダに引かれる車は驚くほど乗り心地良く、バイクタクシーに比べ安定感があった。当時も大きな通りでの走行が禁止されていたため、細い道を縫うように進んだ。10分ほど走ると、降り出した雨がみるみる本降りになり、車を停めて軒下に入った。そのとき運転手は、都市化の波が人々の生活に与える影響や、外国人と結婚する女性の多さなど、将来を憂えた。

 メコンデルタの素朴な人柄で、大きな声で笑う彼の名はAnh。運転手を始めて3年、前は機械職人だったという。そんな彼は、今年いっぱいでセロイが禁止になると聞いて以来、物悲しい日々を過ごしている。彼は他に技術があり転職もできるが、仲間には手に職を持たない人も多い。

 日に晒され、雨に濡れて客を送り迎えする仕事だが、健康とバイクさえあればできるため、親子代々続ける家庭も多い。Nhonさんのセロイは新しそうに見えるが、もう15年以上も使い続けているものだ。「父から受け継いだもので、この車をかわいがっていた父を悲しませないよう、いつもピカピカに」と話す間も、サドルを磨く手が動く。

 稼ぎは1日6万ドン(約4ドル)、ガソリン代を引いても妻と2人の子供を養うには十分だ。5年前にはカントー市内の道路を自由に走行できたため、1日10万ドン(約6ドル)以上を稼げたという。父は、このセロイで11人の子供を育て上げた。

 髭をたくわえたNhonさんは、実年齢38歳より老けて見える。古ぼけたホンダは、バイクタクシーに鞍替えするには難しい。家族を養うために何をするかは、まだ決めていない。顔に刻まれたシワは、きっとこれから増えていくのだろう。

 多くの人は新年を待ち遠しく思い、決意をあらたに事を始めるが、カントー市の1,000人を超すセロイ運転手は、時の流れを止めたい気分だ。

 仏占領下の引き車を前身とするセロイの歴史はおよそ100年、川と共に暮らすメコンデルタの文化や生活と切り離せないものになった。公共の乗り物は他にもあるが、路地の奥まで運んでくれるセロイを人々は今も好んでいる。

 Cuu Longホテルの前で客待ちするPhoさんは、発着場は自然にできたもので、地区の人たちが語らう場でもあると言う。運転手同士で客の奪い合いはなく、交互に客を乗せるようにしている。

 セロイは、救急車の役目も果たしてきた。タクシーは患者を乗せるのを敬遠することも多いが、彼らは災難に遭っている人を見過せない。Ninh Kieu発着場のMinhさんは、カントー橋の崩落事故の際には通行禁止路もかまわず、数十人のケガ人を病院へ運んだ。彼のおかげで、いくつもの命が救われた。

 カントー市は、セロイが残るメコンデルタ最後の地だ。市はこれまで幾度となく全面禁止を計画したが、実現しなかった。市内のセロイ数は以前に比べ大きく減ったが、人々の愛情がこの歴史あるセロイに向けられている限り、なくなることなどないと思われていた。だが政令32/2007/CP号により、まもなく「死刑」が執行される。

 市人民委員会は、セロイ運転手へ1カ月30万ドン(約19ドル)、受給期間5カ月という支援策を提出し、他にも技術習得など、運転手の転職を支援するとしているが、この案が承認されても対象は正式登録のある500人だけで、登録のない600人には何もない。運転手は低学歴の人が多く、転職には壁が立ちはだかる。バイクタクシーへの転職も、新しいバイクの購入、厳しい競争、収入減という問題がある。健康面で不安を抱える人も多い。

 一つの政策が、幾千の人々に影響を与えている。市交通工務局の専門家は、An Giang省が採ったプロセスがなかったことを認める。An Giang省で2004年に禁止された際には、運転手の転職支援や、車両を1台200万ドン(約125ドル)で買い取るなど、具体的な支援があった。

 Nhonさんは、「残念だけど、受け入れるしかない」と寂しそうに話した。彼は、このメコンデルタ独特の乗り物であるセロイを、いつか観光客向けに復活させる夢を抱いている。

(Sai Gon Giai Phong)

(2007/12/21 08:19更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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