外資企業、ベトナム人労働者の最低賃金引き上げ案に反発
外国直接投資(FDI)企業におけるベトナム人労働者の最低賃金は月額40ドル未満で、アジア地域では最低水準だ。国際労働機関(ILO)によると、アジア諸国の最低賃金は、▽カンボジア・45ドル、▽中国・63~70ドル、▽タイ・70~100ドル、▽フィリピン・100ドルなどとなっている。
ホーチミン市で9月28日、労働傷病兵社会福祉省およびベトナム商工会議所(VCCI)がFDI企業における最低賃金に関するセミナーを開催した。席上、Binh Duong省労働傷病兵社会福祉局のNguyen Phung Trung副局長は、「FDI企業における最低賃金を60~65ドルに引き上げる必要があります」と述べた。
韓国繊維協会の代表は、労働傷病兵社会福祉省による最低賃金の改正草案に戸惑いを隠せない。この代表は、「弊社は2,000人の労働者を抱え、人件費は総経費の37%を占めます。将来的に労働者を2倍に増やす予定ですが、新規スタッフは仕事の効率が低く、最低賃金の引き上げは経営に支障をきたします」と話す。
Chi Hung製織会社(Binh Duong省)のCharles Yang副社長は、「弊社では手当も含め月給80万ドン(約53ドル)が最低水準です。草案通り最低賃金が改正されれば手当分を削減せざるを得ませんが、従業員の反発は必至です。最低賃金引き上げには賛成ですが、各企業の準備期間を考慮し段階的な引き上げを望みます」と述べた。Teakwang Vina社(Dong Nai省)のVu Dinh Quan人事担当部長は、「弊社ではこの数年で最低賃金を55万6,000ドン(約37ドル)から79万ドン(約53ドル)に引き上げていますが、最低賃金が引き上げられた場合、どうやって全社員の給与を調整すればよいのでしょうか」と疑問を呈する。またChangshin社(同省)代表は、「弊社の賃金は他社に比べ高水準ですが、改正に伴う従業員からの賃金引き上げ要求は避けられず、経営に支障をきたすのではと懸念しています」と述べた。
ベトナム労働傷病兵社会福祉省は1989年、FDI企業における最低賃金を45~50ドルと規定し、その後、地域により35・40・45ドルの3段階に調整した。1999年には最低賃金の基準通貨を米ドルからベトナムドンに変更し、最も高い水準で62万6,000ドン(約42ドル)と定めた。しかし為替レートが1ドル=1万6,000ドン近くにまで上昇した現在も最低賃金は変更されていない。また労働効率は5年前に比べ約57%上昇しているのに対し、大半の企業は従来の最低賃金を適用している。
ホーチミン市労働傷病兵社会福祉局対外労働管理部のNguyen Thi Thanh Mai部長は、「消費者物価指数(CPI)が10%以上上昇した場合、政府は最低賃金の引き上げを行うと規定しています。しかしこの6年間でCPIが25%上昇したにも関らず最低賃金は調整されておらず、政府の対応は遅すぎます」と述べた。
(Nguoi Lao Dong)
(2005/10/11 10:36更新) |