高い潜在力を持つ、ベトナムのファーストフード業界
人口8,000万人のうち65%が35歳以下で、2005年の経済成長率8.5%の達成も視野に入れているベトナムは、現在ファーストフード業界にとって魅力的な市場だ。
市場調査会社AC Nielsenによると、ベトナムは月に1~3回ファーストフード店に行く人口が、僅か8%程度の若い市場だという。人口の70%以上が月に1度は利用するというタイ・マレーシア・中国・インドといった近隣諸国と比べ、ベトナム人のファーストフード利用頻度は非常に少ない。人口の約9割がファーストフードに馴染みが薄いというこの状況は、今後開拓の可能性が大きい市場ともいえる。
ベトナムで事業展開を行うJollibeeグループのLeo Maglasangマネージャーは、「ベトナム市場には大きな潜在力があり、今後大きく発展すると考えています。今後弊社は全国展開を目指し、数百万ドルかけて、スタッフ養成クラスの開設や、ベトナム人スタッフの海外研修などを行います」と話す。
KFC、Lotteria、Jollibee、Chicken Town、Manhattanなどの有名ファーストフードチェーン店は、現在ベトナム全国で27店舗が営業しているのみだ。フライドチキン、サンドウィッチ、フライドポテトと炭酸飲料を販売するKFC、Lotteria、Jollibeeが現時点では勝ち組で、これらの店には1日平均200~300人、多い時には400~1,000人以上の顧客が訪れている。
ホーチミン市のNguyen Trai通りに、Chicken Texasという最初のファーストフード店が1994年にオープンしてからこれまで、ベトナムでは現地の食習慣を取り入れた西洋・アジア折衷のファーストフード店が展開されてきた。
Jollibeeはハンバーガー、フライドチキン、ポテトサラダに加え、ケイジャン風ご飯、キャベツやミニコーンのサラダなどを販売し、ファーストフードに地域の食習慣を上手く融和させてきた。他店では、セルフサービスを止め、スタッフが客のテーブルまで品物を運ぶシステムを取り入れるところもある。しかしこれでは、15秒でセットメニューを受け取れるという“ファーストフード”らしさは失われてしまう。
各店のマネージャーたちからは、他のアジア諸国に比べ、ベトナムでの普及が遅い一因として、人々の交通手段がバイクであるため、運転しながらファーストフードを食べることが難しいからではないか、という意見も聞かれた。
(Sai Gon Tiep Thi)
(2005/06/03 04:54更新) |