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インタビュー |
ホーチミン市を洪水から守れ、カンゾーに巨大防潮堤
バンコクが大洪水に見舞われ、ホーチミン市も10月末に記録的な大潮の被害を受け、都市部の多くで冠水した。南部では「潮を抑え洪水を防ぐ」議論が盛んになっており、このなかに水利総局によるVung Tau-Go Cong防潮堤(ホーチミン市Can Gioを囲む)建設案もある。
農業農村開発次官・水利総局長であり、このプロジェクトの主任を務めるDao Xuan Hoc局長によると、11月中に技術支援を行うオランダ側に報告し、年末に政府提出し、プレ事業化可能性調査のため計画に補充する考えだ。認められれば4年をかけて施工され、防潮堤が完成すれば1mの海面上昇があっても、ホーチミン市またDong Thap Muoi地域は「絶対的に安心できる」という。
Q: このプロジェクトの概要を教えてください。
A: Vung TauからGo Cong(Tien Giang省)まで伸びる長さ28kmの主防潮堤、Can Gioと直角に走る長さ11kmの副防潮堤、潮の調整や洪水の水を流す水門などを築きます。防潮堤の幅は25m、堤防建設が済めば4万haの湖水(潮の干満で変化する水面面積を含まない)ができ、この容積は河川の水を含め25億m3になります。
これに対しTri An湖やSai Gon、Dong Thap Muoiの湖のすべてが洪水になり、水を排出しても、総流量は1万3,000m3/sでしかありません。そのため水門を閉じれば、流水量は4億m3程度にしかなりません。潮が1m高くなれば水門を閉め、潮が引けば水門を開きます。
Q: 経費が過剰になるとの見方もあります。
A: 20億m3あまりの貯水能力のある湖(Dau Tieng湖――Binh Duong省にある東南アジア最大の人造湖より大きな規模)を建設するだけで、40兆~60兆ドン(約20億~30億ドル)かかり、3万haの面積を必要としますが、防潮堤なら50兆ドン(約25億ドル)程度で4万haの湖を作ることができます。
またホーチミン市だけのプロジェクトなら15万ha程度の面積の対策にしかなりませんが、私たちが提案しているのは100万haの対策となるものです。
Q: 大雨と大潮が重なることで、防潮堤が逆効果になる可能性は?
A: 大雨が降れば、雨は市内の排水溝を流れ、水路を経て海に出ます。排水されるかは、市内の排水溝の能力にもかかってきます。このプロジェクトでは、市内で消費する水を引き受ける問題も解決されます。現在のSai Gon川の水位では、大きな洪水があっても、このプロジェクトの貯水湖で調整できます。
Q: 以前にも農業農村開発省は、ホーチミン市における潮汐による洪水防止プロジェクトを打ち出し、政府承認されましたが失敗したようです。
A: これについてはまず、ホーチミン市と政府が世論の批判にあうことになったことを、心から謝罪いたします。しかしご理解いただきたいのは、これらは簡単にいくものではないということです。当時は3つの対策案が出され、そのなかからSoai Rap川上に水門を築くものがありましたが、実施に当たって洪水と大潮が重なるという解決できない問題にぶつかり、失敗しました。
この防潮堤の建設構想もかなり前からあり、湖ができる良好な対策であることもわかりましたが、当時は提案までにいたりませんでした。それから1年後、韓国の防潮堤の見学を行い、その手法が私たちのアイデアと似たものであることが分かりました。この防潮堤も海に築かれ、湖は1万4,000ha程度、経費は27億ドルかかっていますが、それでも彼らは投資しました。一方私たちの計画案による防潮堤の湖はさらに大きく、経費は低く、洪水に対する効果も非常によいと見込まれています。
ただ、実現できるか言及するには時期尚早です。事業化提案を行う準備研究を進めなければならないからです。このプロジェクトについては多くの人が支持していますが、反対も少なくありません。
Q: プロジェクト実行で得るもの、失われるものは?
A: 申し上げたように、このプロジェクトではまず、ホーチミン市とDong Thap Muoiの排水に対応できます。海面が1m上昇しても対応でき、経費もホーチミン市で実施するものより低く済みます。さらに、このプロジェクトでメコンデルタからVung Tauまでの交通も150kmほど短縮されます。むろん大きな建設物を築けば、環境や水路交通、養殖に影響が出ます。
海面上昇、気候変動は明らかであり、これをやらずとも別の対策もあります。問題は、当面、また長期的に効果のある対策を選ぶことで、これが難しい問題といえます。
(Sai Gon Tiep Thi)
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(2011/11/07 08:14更新) |
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