サッカー国際親善試合・日越戦、小さな出来事に学ぶ大きなこと
日本の会社で働くThanh Traさんは、10月7日に行われたサッカー日本代表との親善試合で、ベトナム代表とともに神戸に行った。そこで、ちょっとしたことだが、非常に興味深いことに気づいたという。
■サポーター自身がゴミ拾い
この試合で印象的だったのは、ブルーに埋めつくされたスタジアムでもなければ、細かいところまでプロフェッショナルに運営されていたことでもなく、ブルーのビニール袋だった。
スタジアムに入場する際、全てのサポーターに、スポンサーであるキリンと、日本サッカー協会のロゴが印刷された、美しいデザインの袋が配られた。はじめは、なぜこんなに粗品を配るのか、と思っていたが、この袋の目的は、試合終了後サポーターたち自らが、周囲のゴミを拾い、指定の場所に捨てるためのものだった。試合が終わっても、何百人という人たちが自主的に、熱心に清掃している姿は、私たちが見習わなければならないものだ。
■批判もする「パートナー」
いまから30年ほど前、日本が世界のサッカー地図にその姿を見せていなかった頃から、ビールメーカー・キリンは日本サッカー協会に対する支援を始めた。代表チームの勝ち負けにかかわらず、長期的に携わっていくことを約束した彼らは、「スポンサー」という言葉は使わず、「パートナー」という言葉で、日本サッカー協会との関係を表現した。
パートナーであることから、日本サッカー協会の欠点を指摘することもためらわず、批判することもあった。しかしそれらはすべて、サッカー界を発展させたいとの思いからなるものだった。いま、日本代表チームは世界15位。キリンは日本サッカーのシンボルになった。試合のスポンサーはどこかと聞けば、「キリン」という答えは誰からも返ってきた。キリンのイメージが、ゴミ袋にしか出ていなかったにもかかわらずだ。
■サポーターと選手のアツい関係
試合が終わっても、サポーターはその場に残り、選手に声援を送り、選手もすぐに控え室に引き上げることはなかった。選手らは「がんばろうニッポン!」と書かれた横断幕を持ち、スタジアムを一周した。
選手はサポーターの熱意に借りがあり、サポーターは選手の頑張りに借りがある。そしてサッカー協会は、スポンサーのワールドカップへの渇望に借りがある。こんなにも面白い、借りもあったものである。
■「ベトナム」コール鳴り響く
神戸のスタジアムでは、日本の観客2万8,000人の前に、ベトナムのサポーター200人はあまりに小さなものだった。日本のサポーターたちが圧倒するには十分だったが、ここでもその優しさは見えた。毎回のコールのあとに彼らは、「Viet Nam、Viet Nam」という声を響かせる時間を、譲ってくれたのである。
「こんなに丁重に迎えてもらったことはない」ベトナムの選手たちはみな、こんなことを言っていた。
最後にもうひとつ、食べ物の話をしよう。神戸は、世界一美味しい牛肉で有名である。レストランで神戸牛125グラムは1万3,000円、300万ドンもする。だがベトナムの選手達は、これを好きなだけ、食べることができたのである。
(Tuoi Tre)
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(2011/10/19 06:29更新) |