AOTSバンコク事務所長「ベトナムの工業発展支える人材育成」
管理者、技術者育成協力を行う海外技術者研修協会(AOTS)は毎年、ベトナムをはじめとする発展途上国の重点産業の企業に、管理や技術で多数の人材育成を行っている。EURO WINDOW(窓・ドアメーカー)、SAPUWA(飲料水メーカー)、Duc Thanhウッド(木製品メーカー)、RESCO 10(住宅建設・販売)、Thai Binh Shoesなど多くの企業で、AOTS卒業生が、重要な地位に就いている。AOTSバンコク事務所の牧野幾太郎所長に話を聞いた。
Q: AOTSの研修に参加したベトナムの卒業生について一言。
A: 多くの人が、ベトナムに帰国し、生産性の改善、不良低減に貢献しているという報告を受け、非常に嬉しく思っています。日本企業との新たなビジネスでも成功し、帰国後の経験や情報交換のためAOTSベトナム同窓会(AVAS)も設立されています。またAOTSの研修で得られた知識やスキルを広く共有するため、AVASのメンバーで、ベトナムでの技術移転と導入を支えることを使命とした、マネジメント・新技術開発院(IMT)も設立され、独立して、またはAOTSと協力して、日本式の研修やアドバイスを行っています。
Q: 具体的に、AOTSの研修はベトナムでどのように展開されたのでしょうか?
A: 私たちは、ベトナムでの育成を重視し、いくつかの内容に集中してきました。
メーカーでの生産性改善では、生産過程での問題の認識、カイゼン実施、生産過程全体での品質向上が行えるよう、5Sや品質管理、工業技術など、実際の応用度の高いプログラムを実施しています。
IT分野の国外での事業拡大に向けて、日本人のビジネス手法や日本のIT企業との作業方法を理解するためのプログラムを提供しています。効果的な作業を行い、工事現場での安全性を高め、建設の質を高める建設プロジェクト管理のプログラムもあります。ほか、工業発展による環境汚染の阻止に向けて、ベトナムの関連分野の育成を行う組織に対する廃水・産業廃棄物の処理方法などの環境管理に関する育成なども行っています。
ただまずは、企業が、思考の投資受け入れで近道をする能力を持ち、経済のグローバル化に適合していくなかで、国内産業が早く、深く変化できるよう、思考のブレークスルーによる企業管理の概念を紹介しています。
Q: ベトナム企業での直接の研修プログラムもあるとうかがいましたが?
A: 企業における直接の研修の必要性を感じ、FEHCA(アジア経済・人材協力連盟)やJPC(日本生産性本部)といった日本のトレーナーとの協力ができるよう、IMTをサポートしています。IMTは、日本の専門家の直接指導のもと、企業での直接研修を行っています。この直接研修の質を保証するために、IMTのトレーナーやアドバイザーは、AOTSとJPCの研修を受けています。
Q: 毎年AOTSでは、日本でベトナム向けコースを5つ開いています。品質管理、工場管理、食品の安全、生産現場の改善、会社の管理ですが、なぜこれらの分野が選ばれたのでしょうか。今後、ベトナム向け研修コースとして分野を変更、補充することはありますか?
A: 低廉な人件費と若い労働力により、ベトナムは外国投資を誘致することで、急速な工業、経済の発展を遂げています。ですが私たちは、世界との競争を前に、持続的な工業発展をするには、生産性を高め、不良率を減らすことが先決と考えています。私たちは、国内市場において、またグローバル化する経済により適合していくために、ベトナムの産業分野が生き残り、競争上のアドバンテージを得る方法まで考えています。これが、私たちがこの分野を選んだ理由であり、今後もこの方向性を維持します。
加えて、IMTとJPCとの協力により、工場での改善実施を率いる力のあるリーダーを育てるために、生産性を高める研修も強化します。ほか、環境管理システムだけでなく、より高い環境基準、要求に沿った商品設計や生産技術も取り入れていきます。
■AOTSは1959年の設立から2011年3月末までに、日本での技術研修にベトナム人技術者3,929人、管理研修に同3,777人を受け入れている。またベトナムでは1万3,381人の技術者・管理者に育成を行っている。
(Doanh Nhan Sai Gon Cuoi Tuan)
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(2011/08/16 09:11更新) |