国家銀行総裁「マクロ経済・銀行は安定」
― 国家銀行総裁インタビュー ―
7月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.06%上昇と抑制範囲内にある。国家銀行は農業、農村や輸出、中小企業を中心に、引き続き経済に資金を投入していく考えだ。Nguyen Van Giau国家銀行総裁に話を聞いた。
Q: インフレ抑制は上々な成果と言えますが、これが経済を支えるためのさらなる通貨緩和の根拠となりますか?
A: 年初からこれまで、国家銀行はインフレ抑制と成長を支えるという2つの目標を調和させるために、通貨政策運営で非常に柔軟にやってきました。
年初3カ月、企業と国民の資金需要は強く増え、銀行預金量はダウンしました。国家銀行は、これを支えるため大きな金額を注入し、市場の調整のためすぐ引上げました。続いて農業、農村、輸出、中小企業を支えるという政府決議18号の方針に沿って、国家銀行は資金がここに流れるよう調整しました。
例えば7月はじめ、国家銀行はVietinbankに輸出の優遇融資のため10兆ドン(約5億3,000万ドル)を融通しました。Agribankには10兆ドンを提供しましたが、同行では実際に、農業、農村地域に12兆ドン(約6億3,000万ドル)を貸し出しています。
Q: 第1四半期と第2四半期は融資の伸びが低いという意見もありますが?
A: 7月31日時点で、通貨供給量は12.96%、預金は16.3%、貸出残高は12.97%、それぞれ前年末と比べ伸びています。年間目標は通貨供給量が20%、貸出残高が25%ですから、そこから見ると低いということはありません。
またこの数字を2009年と比べるのも、適切ではないと思います。2009年は政府の景気対策に沿って、銀行が融資を進めた年ですから。
Q: 大きくありませんが、市場で為替が動き、多くの企業が不安に感じています。
A: ベトナムの各種マクロ経済指数は依然として健全です。輸入超過ですが、貿易赤字はコントロールできる範囲内にあります。ほか貿易バランスを埋める他の要素も良好です。例えば登録投資額は伸びていませんが、外国直接投資実行額は64億ドルで前年同期比1.6%増、国外在住者からの送金も上半期は24.6%増と急増し、39億ドルに達しています。こういった良好なマクロ経済状況で、為替は安定すると思います。
Q: 国家銀行は積極的に動いているとはいえ、企業からは年12~13%という金利で借りられないという声も聞かれます。
A: 運営方法を基準金利から合意金利に切り替えており、金利の上下は需給関係とマクロ経済の動きによります。
決議18号の精神に則った優遇対象の分野・地域では、銀行はいずれも低い金利で融資しています。例えば農村地域では現在BIDVは最低12%、Vietcombankは12.3%、VietinbankとAgribankは12.5%です。輸出業者ではVietinbankがベトナムドンで年11%、ドルで年4%でしかありません。
現在この対象への融資が全体でどれくらいなのか統計を出すよう求めており、それが出れば、低金利融資を受けている割合が多いのか少ないのか分かると思います。
Q: 年末の運営方針は?
A: 貸出残高の伸び率25%、経済成長率6.5%またはそれ以上という成長目標をいかに達成していくか、対策を採っていきます。もちろん異常な変動があれば、適切に調整します。
喜ばしいことには、しばらくぶりに銀行の預金伸び率が、貸し出しの伸びを上回っていることがあります。年末に資金調達は時期的に減少する可能性がありますが、懸念すべきことではありません。実際に銀行へ入る資金はかなり安定しており、銀行はひとつの魅力的な投資先となっています。
今後国家銀行は、農業農村向けの貸出残高が高い銀行の預金準備率を引き下げる方針です。Agribankに対しては、4兆ドン(約2億1,000万ドル)程度の中長期資本の支援を続けていきます。
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(2010/08/10 02:56更新) |