日本のODA汚職事件、2~3年の禁固
ホーチミン市人民裁判所は9月24日、職権濫用の罪で起訴されている元市交通工務副局長、東西道路・水環境プロジェクト元管理委員長のHuynh Ngoc Si被告と同管理委員会のLe Qua元副委員長の審理を行った。傍聴には日本の記者らも含め300人が訪れた。
2001年8月から2002年11月にかけて、両被告はPacific Consultants International社(PCI)に東西道路管理委員会事務所内の部屋を貸し出した。この期間、PCIは同委員会に8万ドルを支払っているが、これが会計帳簿に記載されることはなく、両被告が自ら管理した。Qua被告は3億5,000万ドンを接待費にあて、残りは管理委員会幹部および職員87名に分配した。うちSi被告は5,200万ドン、Qua被告は5,400万ドンを受け取っている。
Qua被告は、起訴状にある行為を全て認めた上で、「これはベトナム最大のプロジェクトのひとつであり、優秀な人材を確保したかった。金の分配は、ひとつの福利厚生のようなものと考えていた。PCI社に事務所を貸すことで、職員が経験を積むのに有効と考えた」と話した。またSi被告も同意したとし、「委員長の同意がなければできなかった」と述べた。
だがSi被告はこの同意について反論、全ては副委員長(Qua被告)の一存だったとした。交通工務局の職務を主に行っていたため、これを知ったのは2001年末のことで、その後すぐに副委員長に対し、PCI社を直ちに退去させるよう指示したという。5,200万ドンあまりの受け取りに計40回以上受領のサインをしていることについては、「よく注意していなかった」と述べた。受領証には様々な項目が含まれていたため、テト(旧正月)ボーナスや食事代、会議の手当てなどだと思っており、「渡されれば受け取るのが当然」の金だと認識していたと述べた。
これに対し検察側は、「PCI社が長く入居していながら、Si被告が知らなかったはずはない。管理委員会の口座主であり、自分が受け取った金がどこから出てきたのか把握していたはずだ。特に最初に受領の署名をした際、金を渡した職員は被告に対し、これがPCI社への事務所貸し出しからの金だと告げている。こういった状況から見て、責任感が不足していただけで、故意の違反ではないというSi被告の主張は筋が通らない」と述べた。
ただ検察側は、この両被告の動機については組織の利益のため、職員の学習および福利のためだったとし、両被告およびその家族は国に貢献があり、また老齢であること、持病があることなどを理由に、5~6年の禁固を求刑した。
この裁判について読売新聞の記者は、「多くの日本人の関心は、PCI社幹部が日本で裁かれたように贈収賄の有無に向いており、この裁判には関心が薄い。日本人は、両被告が10年の禁固に処されたとしても、贈収賄事件が明らかにならなければ『非常に残念なこと』と感じる」と話している。
なお市人民裁判所は25日、Si被告に3年、Qua被告に2年の禁固刑を言い渡している。
(Tuoi Tre/Phap Luat) ※『ベトナムニュース The Watch』のご案内※
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(2009/09/28 06:50更新) |