労組幹部の能力向上に期待
― 国際労働財団(JILAF)中村義博理事インタビュー ―
元在ザンビア日本大使で、現在は国際労働財団(JILAF)の理事を務める中村義博氏にお話を伺った。
Q: ベトナム労働総連盟と10年にわたり連携してこられました。
A: 関係は日増しに深まっています。毎年、POSITIVE(Participation-Oriented Safety Improvements by Trade-Union InitiatiVE)という参加型実践重視の労働安全衛生改善を目的にしたプログラムを通じ、ベトナムの労働組合を支援しています。
2004年、ベトナム労働総連盟の協力により、このプログラムを開始しました。労働安全衛生分野で働く労働組合の幹部を対象に、労働者の労働安全衛生に関する知識向上、職場での事故削減、職場環境の改善を目的にしています。これまで245人を育成し、うち95人が中心幹部の認証を受けました。
さらに現在、ベトナムで活動する日本企業で働く組合員の支援を目的にしたセミナーを開催することで連盟を支援しています。プログラムでは幹部約30人を視察・研修のために日本に招聘しました。これは彼らが日本の労働組合の経験を学べる非常に良い機会です。日本の専門家が参加した訓練もハノイとホーチミン市で行い、これらの地域で働く50人を育成しました。ベトナムの労働組合の幹部に最新の情報や訓練知識、新しい方法を提供する以外にも、活動能力の強化や業務の効果向上を目的に、現代的な技術にアプローチできるよう支援しています。
Q: 2009年、プログラムで重視される問題は?
A: 外務省が財政支援を行うベトナム労働総連盟とJILAFとの提携プログラムが、3月5日に正式始動しました。今年は非常に幸運なことにODA支援も受けられます。現段階では、教員を増員するために研修に関するコンサルティング等を実施します。ホーチミン市、ダナン市、Dong Nai省、ハイフォン市の4省市以外では電力・造船分野に活動を広げ、ベトナムの労働組合に訓練設備5組を贈る予定です。
Q: 現在ベトナムで活動する日本企業での労働問題は?
A: ここ数年、日越両国の関係は大きく発展しています。1998年に正式にベトナムでの投資を始めてから2008年12月まで1,033件、対越投資額で3番目の総額163億1,000万ドルを投じてきました。日本企業の投資は主に電子、機械製造、電力・交通システムの改善、技術移転分野で、ハノイ、ホーチミン市、Dong Nai省、Vinh Phuc省、ハイフォン市、Binh Duong省に多く集まっています。
ベトナム労働総連盟のNguyen Hoa Binh副会長は、ベトナムで活動する日本企業での労使関係は比較的良好で、雇用主のほとんどが法律を尊重し大きな衝突もないとおしゃっていました。しかし50%という労働組合設立の割合の低さ、労働協約の作成率の低さや法律と比較した内容の少なさ、日本企業の習慣や文化に対するベトナム人労働者の理解不足といった問題が、企業や組合活動に影響を与えています。
2008年、ベトナムで起こった労働災害は5,000件超、怪我をした約6,000人のうち約700人が命を落としました。主な原因は、雇用主が労働安全衛生を重視していないこと、労働者にもこの知識が欠けていることにあります。
連盟との提携プログラムにより、労働関係の調和、安全な労働環境の確保、雇用創出、企業の事業発展への貢献、国家経済の成長を目的に、ベトナムの労働組合の幹部が能力、知識を向上できるよう願っています。さらにわれわれの持つ情報、経験から、相互理解の強化、ベトナム労働総連盟と日本労働組合総連合会の友好関係とその連携、両国の労働者と組合の連携・友好関係の強化につながるでしょう。
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(2009/04/07 11:04更新) |