ベトナム:最低賃金引き上げは延期すべき
― Toyoda Gosei Vietnam社長インタビュー ―
景気後退にともなう生産規模の縮小や環境問題について、Toyoda Gosei Vietnam社のTakano Jiro社長に話を聞いた。
Q: 世界的な経済変動、またベトナム政府の最低賃金改正の決定が御社に与える影響は?
A: 世界的な景気悪化により、ベトナムで生産する日本企業も大きな影響を受けています。私たちが生産するもの、原料とするものはいずれも外国市場に頼っているからです。ベトナムの経済情勢には大きな影響はありませんが、ベトナム投資を予定していた外国投資家を躊躇させています。そのため2009年のベトナムの外国投資誘致は2008年と比べ、一定の減少が見られるでしょう。
ベトナムで事業を行う企業は、政府が2009年1月1日の最低賃金改正をそのまま実行するなら、多くが事業規模を縮小するでしょう。弊社は生産を30%程度縮小することになると思います。賃金改正は労働者に利益をもたらしますが、多くの労働者が職を失うことにもなりかねません。賃金改正は慎重に検討すべきで、改正するにしても、時期を遅らせれば多くの企業が歓迎するでしょう。2009年、中国は最低賃金を引き上げないことを決定しました。
Q: 企業を表彰することについて、業績だけを見ればそれでよいとお考えでしょうか?
A: Toyoda Gosei Vietnam社は、大手自動車部品メーカー、トヨタに主に供給する企業である豊田合成グループの100%出資による企業です。2008年11月までの時点で、弊社はハイフォンの野村工業団地において最大の投資額を誇る外資100%企業です。弊社は環境に配慮した事業で先を行く企業です。ひとつの企業を表彰するときは、業績や物質的貢献だけでなく、環境保護、労働者の健康のケアや社会活動などの要素にも目を向ける必要があると思います。
ベトナムは後発国ですが、有利な点も多くあります。それは、投資誘致や事業戦略の経験や秘訣を知ることができるだけでなく、環境保護でも貴重な教訓を学べることです。先進国の現実から、投資誘致、工業発展ばかりに重きを置き、環境保護を忘れていれば、それは大きな誤りと言えます。
Q: 日本での環境保護の観点は?
A: 日本では環境問題が常に大きな関心を集めています。世論、特にマスコミが環境を破壊している企業を厳しく批難します。日本の消費者は、環境保護を重視しないメーカーの商品は買いません。日本政府は地方自治体や住民に監視を行い、品質や環境衛生基準を遵守しないメーカーに対して重い処分を科すことを認めています。ベトナムには農村部など美しい環境という非常に貴重な財産があります。しかし対策が遅れれば、その美しい姿を変化させてしまうかもしれません。
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(2008/12/05 06:57更新) |