新生JICA、引き続きベトナムを支援
― JICAベトナム事務所長インタビュー ―
2008年10月、国際協力機構(JICA)と国際協力銀行(JBIC)のODA事業が統合された。約100億ドルの財源を持つ新生JICAは、世界最大の開発援助機関となる。
Q: 新生JICA設立後、ベトナムへのODAに何か影響があるのでしょうか?
A: 日本からODAを受けている国々のうち、ベトナムは最重要国の一つで、他国に比べ成功していると評価されています。統合によりベトナムへのODAがどのように増えるのか、具体的に回答することはできません。しかし、ベトナムは過去も、そしてこれからも、日本のODAにおける最も重要なパートナーであると言えます。日本政府はベトナムに対するODAを積極的に維持します。
Q: 交通インフラは、日本のODAを受けるベトナムの重要分野の一つです。今回の統合により、ベトナムの交通インフラへのODAは何か変化があるのでしょうか?
A: ベトナムに対する日本のODAの大部分は円借款で、うち交通・運輸と電力が主力となっています。交通分野での資金援助は、全国の商品輸送にプラスの働きをしてきました。統合をしても交通分野に対する優先度に変更はありません。
ベトナム国内で展開されている大きな交通プロジェクトとともに、私たちは円借款及び無償資金協力を通じて、僻地における脆弱な交通網の改善を支援します。
近々私たちは、いくつかの新しい工事を展開しますが、そのなかにはハノイ及びホーチミン市における都市鉄道建設プロジェクト、ハノイのNhat Tan橋建設があります。
これらは高度な技術を必要とする工事です。カントー橋崩落事故の経験を生かし、建設過程で業者やコンサルタントと緊密に協力し、安全第一で建設を行います。建設工事における安全措置のみならず、技術協力活動を通じて、ベトナムに安全措置の技術移転を行います。
強調したいのは、新生JICAにとって交通運輸は最も重要な分野であるということです。私たちは建造物の質や工事の安全確保を通じて、さらに協力を深めたいと考えています。
Q: ベトナムでのODAによる交通プロジェクトの進行が遅いと感じますか?
A: 進度について言うなら、資金貸付の覚書署名から請負業者の入札、契約書作成まで時間がかかります。大規模な交通プロジェクトの用地回収が長引いているケースも一部あります。
例えば私たちはハノイ道路と東西道路の改善プロジェクトを実施していますが、この2つの案件も、立ち退きの問題で予定が大幅に遅れています。この遅れを解決するため、現在JICAと交通運輸省、関連機関の代表で毎月定例会合を行い、問題解決にあたっています。最近ベトナムはHoang Trung Hai副首相を委員長とする重要交通プロジェクトに対する国家指導委員会を設立しました。これは大規模交通プロジェクトを監督するのに良い制度だと思います。
Q: PCI前社長ら4人が贈賄罪に問われた事件について、JICAとしてはこの問題をどのようにお考えですか?
A: 日本の支援でありながら企業がこのような法律違反を犯すことは、援助団体として非常に残念なことです。JICAとしては、この企業に限った特別なケースだと考えています。しかし日本のマスメディアを通じて、日本国民のODAに対する信頼は失われたでしょう。再発を防ぐため、両国は管理機構改善のため調査を行いました。
9月末、日本の外務省国際協力局長がベトナムを訪れ、両者はODAに関する汚職防止委員会の設置について合意しました。それによると両国は、透明性を高めるため情報交換と工事展開における監督を強化します。この合意により私たちは、ベトナムにおけるODAに対する日本国民の信頼を得られることを期待しています。
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(2008/11/01 10:46更新) |