ベトナム:通貨引き締め策は当面維持すべき
― ADBベトナム事務所代表インタビュー ―
9月16日、アジア開発銀行(ADB)ベトナム事務所は、発表した「アジア開発展望2008」に関する記者会見を開いた。同事務所の小西歩代表にお話を伺った。
Q: アメリカの歴史ある大手銀行でさえ破綻しました。ここで学ぶべき危機管理はどんなものでしょうか。
A: アメリカの金融システムについて批評するつもりはありませんが、アメリカのような複雑な金融市場においてどんなに大きくて経験がある銀行でも、新商品の開発はリスクがあるということが言えます。
現在アメリカが直面している危機によるベトナムへの影響は小さく、ベトナムの銀行システムの発展に同様の特徴は見られていません。しかしこれは銀行システムのリスク検査における大きな教訓です。
Q: ベトナムの銀行システムのリスク管理は、Baselの資本安全指標と比べどうでしょうか?
A: ベトナムの商業銀行には、すでにリスク管理システムがありますが、基盤ができているかと聞かれればまだです。商業銀行におけるリスク管理能力やスキルのある幹部や職員の有無、リスク管理システムが重視されているか否か、監査システムの問題。これらについても、ベトナムの銀行は発展段階にあるとしか言えません。
Q: アメリカのサブプライムローン問題とベトナム商業銀行の不動産融資を比べるとどのようなことが言えますか?
A: 世界の金融市場のマイナスの影響が金融投資家に影響を与えた結果、間接的にベトナムの金融市場にも影響したという点を除いて、アメリカのサブプライムローンとベトナムの不動産融資は何の共通点もありません。
Q: ベトナムでは銀行の破綻や合併に馴染みがありません。このことはベトナムで近く発生する恐れがあるのでしょうか?
A: 近く経済成長は落ち、不動産やその他市場は停滞するでしょう。例えばホーチミン市では一部の不動産価格が60%下落しました。このことは当然銀行の資産や事業活動のバランスにも影響します。
このような背景から、一部銀行で不良債権が増加します。実際、一部の小規模行は国家銀行に決済の支援を申し入れました。ここ数カ月、国家銀行は商業銀行に毎日の活動報告を要請し、同時に商業銀行の検査を強化しました。
一般的な銀行システム全体の危機もあるといえますが、そのレベルは非常に低いものです。小規模行を中心に一部の銀行は困難に直面するでしょうが、国家銀行はシステム全体のリスクを回避する対策を実行しています。私たちは最悪の事態は発生しないと信じています。
Q: ベトナムは成長目標よりもインフレ抑制を上に掲げています。これはいつまで続けるべきなのでしょうか?
A: 政府が2009年、私たちの予想である6%を超える成長目標を掲げた場合、インフレや輸入超過は高くなるでしょう。もちろん政府には選択、変更する権利がありますが、問題はその選択は何かということです。
緩やかな通貨政策をとれば大きな総需要を生み、インフレを加速させることになります。世界の商品市場の変化も複雑に動いていますから、引き締め政策を続けるとともに、中期的なインフレを防ぐため財政政策との連携も必要です。
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(2008/09/23 05:29更新) |