先人の功を忘れ消費に溺れるベトナムの若者
1975年の勝利は、長期にわたる抗戦で勝ち取った国土を維持する戦いの新しい幕開けであり、世界平和を愛する人々が望んでいたヒューマニズムの勝利であった。
軍事的な戦いが終結し、ベトナム人は別の長期戦を開始した。平和の維持、戦争による傷跡の復旧、残された地雷や枯葉剤の後遺症問題における国際的な正義の希求、そして国家構築・繁栄という長い戦いだ。
戦争の世代はすでに第一線を譲った。戦争の記憶が僅か、または記憶がない30〜45歳の人々が、急速に変化するベトナムの指導者となっている。
この若い世代は、彼らの父や兄が払った犠牲、数百万の人々が捧げた人生と血と肉、汗、涙のお陰で今のベトナムがあると語る。そして彼らは、ベトナムが世界に誇れるものは「豊富な資源」「学識があり勤勉な国民」「民族の自尊心と団結」「世界の隣人の経験を学ぶ向上心」であると考えている。
ベトナムは安定した国家だ。かつて経験してきた飢餓は今やもうない。子供の病、伝染病と死といった痛ましい光景も消えたか、減少した。医療や教育、清潔な水、電気、交通、情報網といった基本的サービスは全国に拡大され、農村部や僻地にも提供されている。貧困は著しく減少した。
先進国にずいぶん前からあった様々な現代的な生活物資がもたらされ、新しい世代の潜在意識の中に、享受して当然の権利であるかのように居座っている。現在ベトナムは世界で急速に発展している国の一つだ。
新しい道や橋が全国を結び、携帯電話やインターネットの利用は爆発的に増えている。またベトナム初の通信衛星を打ち上げ、宇宙にも場所を確保した。
新しい世代が対峙しなければならない問題は、前世代との相違だ。現在の若い世代は、祖父や父の功績で実った果実を享受している。私が出会ったベトナムの農民は、自分の土地を慈しみ、その土地から収穫するだけでなく、将来の世代に恵みを与える自然を守っていた。
ベトナム人は自分に余裕があるとき、他者に分け与え助けるという伝統を持っている。先人の経験は後の世代に引き継がれる。このベトナムの道徳は数百年続いてきたものだ。
市場経済に入った後のベトナムで心配なのは、若い世代は熱心、文化的、積極的、創造性といった優れた点を持ちながら、文化的価値を疎んじていることだ。彼らは建設・発展のために節約している国家にいながら、過度の消費にうつつをぬかしている。
AP通信の記事が、この現象について典型的な例をあげている。あるハノイの商店では最近、レザージャケットを客に4,000ドルで売った。39歳のある女性は、Louis Vuittonで1,000ドルのハンドバッグを5個購入した。Gucciでは、金箔が貼られたハイヒールが765ドルで販売されている。ホーチミン市では、超高級車の支払いに、40万ドルをアタッシェケースに入れてやってきた人もいるという。
(Thoi Dai)
(2008/06/07 12:23更新) |