ベトナム:建設工事入札、「重い封筒」がなければ勝てない
国家級の大型建設工事の入札で、役人への贈物はごく有り触れたことだ。請負業者は、省や県の人民委員会、総公社、プロジェクト管理委員会といった投資主に対する「マナー」をわきまえていなければならない。この問題について、ベトナム建設業者協会会長で、ベトナム建設輸出入総公社(Vinaconex)のVu Khoa元社長は次のように述べている。
建設業界では、入札に勝ちたければ封筒を持つよう語り継がれてきた。なかには数万・数十万ドル、大規模プロジェクトなら数百万ドルが入っている。例えば投資額7,000億ドン(約4,375万ドル)のプロジェクトなら、投資主に対し1%、つまり7億ドン(約4万3,750ドル)を貢がなければならない。
受注したければ、このお金に不足があってはならず、通常は複数回渡される。請負業者が十分な金を渡さなければ、投資主は妨害するなど巧妙な形で催促する。
入札で投資主を「素通り」しようとする請負業者は見たことがなく、金を渡さなければ、投資主は様々な方法で請負業者を処理するだろう。この不文律は、行政命令よりはるかに高い地位にある。
これが原因で失われた資金を補うために、請負業者は低品質の資材を使用するなど、工事の手を抜くしかない。あるいは投資主による投資額の調整で、請負業者の貢ぐ金額は合法化される。
例えばある道路建設プロジェクトで、投資主から「ゴー」サインを受けるには、入札時に1,000億ドン(約625万ドル)を支払わなければならない。損失が出るためこのような額を支払おうとする人はいないが、受注した業者は施工時にあれやこれやと付帯工事を作り出し、そして投資主は、先の金額を補うべく経費を高く見積もる。施工を始めた途端に、設計が変更されるという話が出てくるのはこのためだ。
社内で、投資主に封筒を渡さず、いかにして明白な入札を行うかについて討論したこともあるが、封筒を渡さないなら入札に勝とうと考えるべきではないという反応しか返ってこなかった。
会社の長として何と言ってよいか分からず、ただ彼らには何事もきちんと、法律どおりにするようにとしか言えなかったが、この分野で法律どおりにすることは到底できないと分かっている。
入札で封筒を渡すことは、工事の質を落とし、国や国民に対し損害を引き起こすことになる。本音を言えば、このような形でお金を失いたいと思う請負業者はいない。しかし、こうしなければ工事はできず、従業員は失業する。
権力者がこの種の罪を犯した証拠を見つけるのは、訴追機関にも難しいことだ。賄賂の授受は秘密裏に行われ、関わった者しか事実を知り得ない。
我が国の法律では、いかなる場合も明確な証拠がなければ逮捕されない。私の意見では、役人が今持っている財産の出所を証明できなければ、それは何らかの汚職にかかわっている証拠だ。十分な証拠がなければ役人を告訴できないのなら、我々は決して汚職に立ち向かえず、汚職はより深刻に、巧妙になるだろう。
PMU18(交通運輸プロジェクト管理委員会)の元委員長Bui Tien Dungの一件では、国家官僚が賭博につぎ込んだ数百万ドルという大金が、汚職をしなければ到底得られないということは誰もが理解しているにもかかわらず、裁判機関は賭博と贈賄を処理したのみだ。
(Phap Luat)
(2008/05/28 07:36更新) |