ベトナムの人気カフェ――Highlands Coffeeの歴史
1994年、カナダDesjardins銀行の法律部門副マネージャーをしていたJean-Guy Larochelle氏は、支店設置のため妻子を連れて2年間のベトナム勤務に就いた。
当時21歳でケベックの大学に在学していた娘Julieさんは、1995年5月にベトナムを訪れた。その数カ月後、彼女は米シアトルの大学の学生で、夏休みに帰省中だったDavid Thaiさん(23歳)と出会い、そして二人は夫婦となった。
アメリカのカフェチェーン「スターバックス」の発展ぶりをみたDavidさんは、ベトナムにも同様のカフェチェーンを設立したいと思った。ベトナム人もエスプレッソやほかの特別なコーヒーを好むなら、新しいコーヒーブランドを作り、中部高原で収穫されるコーヒーでベトナムを有名にする最高のチャンスだと確信した。これがカフェチェーンHighlands Coffeeの名の由来だ。
しかし最初は思うように行かなかった。夫婦の資金はわずか1,000ドル、一日一食の日もあり、バイクにガソリンを入れるお金さえない時もあった。しかし幸運にもDavidさんは、最初に民間企業設立が認められた越僑の1人となることができ、夫婦の会社Viet Thai International社(VTI)が生まれた。
ベトナム企業と見なされた会社は、規制が厳しく、店舗数も制限される外資企業に比べ有利な点が多かった。そしてある投資家がVTIの潜在力、若い夫婦の決意に投資を決め、会社の発展を手助けした。
そして10年以上を経た現在、Highlands Coffeeは国内で最大規模のカフェチェーンを展開し、コーヒー豆の加工、卸、輸出をする企業となった。当初の困難は過去の話となり、夫婦は現在3人の子供とホーチミン市の高級住宅街Phu Minh Hungに住み、愛車Fordにガソリンをふんだんに入れ、子供たちをフランス語の学校へ通わせている。
夫婦の会社にはJulieさんのほかにケベック州出身者4人が管理職に就いており、その中の1人、Julieさんと高校からの友達のFrancis Papillonさん(33歳)は事業開発マネージャーだ。彼はLaval大学産業関係学部を卒業し2004年4月に渡越、去年の12月にはベトナム人女性と結婚した。
2002年から現在までに国内5大都市で56店舗を展開し、今年末までにさらに25店舗増える予定だ。
1月下旬から、Francisさんはテト(旧正月)明けの準備をしていた。彼によると同社1,500人の従業員のうち、休暇あけに会社に戻らないのは30%に達する。
人材採用が最も苦労する問題で、定着に努力はしているが、転職すれば2〜3倍の収入を得られることも彼らは知っている。
ホーチミン市でも現在の平均日給が6ドルというなかで、ベトナムの人口8,500万のうち一杯のコーヒーに3ドル以上を出せる人はまだ少ない。しかし中流層の拡大に伴いこれらのコーヒーを飲める人は増えてきている。
この10年間でベトナム経済は2倍に成長した。賃貸オフィスビルの稼働率は99%に達し、2007年の対越外国直接投資は200億ドルに上った。
こちらもDavidさん、Julieさん夫婦の会社であるMeet and EatはIntel社と契約し、1日1万食以上を提供する。Unileverも、コーヒーにとどまらず新たな戦略を持ったVTIと協議する予定だ。
VTIはハノイ市の大劇場下階で、1911年に建てられた建造物を利用した5つ星レストラン1911を展開している。最近ではホーチミン市でHip Hopバーを開店させた。VTIは米広告代理店Grey Global Groupベトナム支社の49%の資本を所有、Nikeのベトナムにおける5店舗のオーナーになっている。
「Davidはアイデアと信念を持った人で、私はただその夢を実現させる方法を探しているだけ」とJulieさんは言う。父親Jean-Guyさんも同社の法律顧問兼マネージャーの1人だ。
夫婦の夢は、VTIをベトナム人みなが誇りに思うような、ベトナムトップの企業にしていくことだ。VTIの事業拠点は年々増えている。Julieさんは「Fruit & Passion」、「La Senza」、「Aldo」やアイスワイン、豚肉など、様々なケベックブランドのベトナム進出を考えており、商談も進んでいるという。
(Sai Gon Giai Phong)
(2008/05/05 06:55更新) |