ベトナム:エネルギー開発、水・風・太陽に期待
石油代替エネルギーの開発は世界の関心事だ。国際原油価格が1バレル70ドルを突破した90年代初め、多くの国々が「再生可能エネルギー」と呼ばれる新エネルギーの開発に乗り出した。2008年3月14日に原油価格は1バレル111ドルとなり、開発の必要性は増した。
ベトナムではエタノールや地熱などはまだ進んでいないが、水力発電、風力発電、太陽熱発電はすでに着手されている。
現在ベトナムの平均電力消費量は年間1人あたり540kw。一方2003年以降、タイの平均電力消費量は同1,500kw、シンガポールは1万kwだ。
■水力発電
REE、Hoang Anh Gia Lai、Anpha Petol、Mai Linhといった有名各社が水力発電に参入したことで、2009年から供給量は豊富になると見られる。
Mai Linhは2005年に水力発電所建設計画を発表した。当初は20〜30MW以上の発電所を建設する方針だったが、多くの投資家が申請に殺到したため、小さな水力発電所を選ぶことになった。
エネルギー部門責任者Pham Tien Khoa氏によると、同グループは、Quang Tri省のLa La発電所(3MW)及びあるリゾートの内部電力供給のための出力1MWのプロジェクトを展開している。
そのほか中部で総出力9.5MWの4つの水力発電所プロジェクトを計画し、ラオスでも総出力60MWの3つの大型水力発電所プロジェクト案を提出した。
Khoa氏によると、以前1MWを発電するための投資額は180億ドン(約113万ドル)だったが、現在は原料価格や融資金利の上昇により230億〜270億ドン(約144万〜169万ドル)となっている。だが15年ほどで投下資本は回収できるため、水力発電の魅力は大きい。
水力発電事業については各地で異なる開発計画がある。情報を早くつかみ、早期に申請した投資家は、巨大なプロジェクトと利益を得られる。
民間投資家が心配しているのは、ベトナム電力グループ(EVN)の電力購入策だ。EVNは現在、国内企業の電力を1kwあたり4.1〜4.3セントで購入しており、海外の価格より低い。この価格で投資家に利益はなく、水力発電に投資する各社は、購入価格は1kwあたり5.1〜5.3セントが妥当だという。
政府が管理する30MW以上の出力を持つ発電所のほか、小さな発電所は事前に交わした契約書に沿って電気を販売しなければならないが、世界では、市場や天候の動きで価格はそのつど調整される。
■風力発電
米航空宇宙局(NASA)によると、ベトナム中部沿岸、特にSon Hai(Ninh Thuan省)とHam Tien(Binh Thuan省)は風力発電の大きなポテンシャルがある。
世界銀行は以前、Phu Quoc島での風力発電研究への資金援助を行った。ホーチミン市工科大学は同地での風力発電は可能と発表したが、その後ドイツのある技術コンサルタント団体が再調査し、不可能だと発表した。
一時の停滞の後、風力発電を先駆けたのはBinh Dinh省だ。2005年、Phuong Mai 1風力発電所が最初の2つの発電機で活動を開始し、Phuong Mai 2も建設中だ。2007年9月には、Nhon Hoi経済区にあるPhuong Mai 3発電所も起工した。
中部風力発電株式会社(Cenwindco)が3,500万ドル投資したもので出力21MW、Phuong Mai 3発電所は国家電力網に年間5,500万kwhを供給する。
Fulbright Vietnamプログラム責任者Vu Thanh Tu Anh博士によると、風力発電は多くの人が考えるように高いものではない。例えばSon La水力発電所の設計総出力は2,400MW、投資額24億ドルで、1kwあたり1,000ドルの投資が必要だ。電力販売価格は1Mwhあたり70ドルとなる見込みだ。
一方ヨーロッパでの風力発電1kwあたりの投資額もおよそ1,000ドル。予定では、Phuong Mai発電所は1Mwhあたり45ドルで販売することになっている。
世界の風力発電開発は加速している。2004年からスペイン、ドイツ、インド、アメリカで特にそのピッチが早まった。ロシアや中国、南アフリカ、ブラジル、メキシコなどの新興国も、商取引のための大規模な風力発電開発に乗り出している。
外洋風力エネルギー開発はヨーロッパを中心に行われている。ヨーロッパでは外洋風力エネルギーからの発電量が約600MWになっており、現在世界の風力発電の成長率は年間28%、トップはドイツで2004年に17GWに達した。
■太陽熱発電
太陽熱発電は1975年から研究が始まり、ベトナムでは90年代初めに応用され始めた。現在は全国4,000世帯が使用するのみで、総出力は僅か1.5MW。タイでは2005年からの供給出力は7MW、2015年には40MWに達する見込みだ。
ホーチミン市物理研究所支部・太陽光電力技術開発部(Solarlab)のTrinh Quang Dung部長によると、ベトナムの民間投資は太陽熱発電所建設に躊躇している。どのような形式の発電所でも、企業はEVNに電力を売らなければならないからだ。
買い手が一者しかないため、不合理なことが多く発生する可能性がある。また投資額が高く1MWあたり1,000万ドルであることが、大きな懸念材料だ。現在は一部の国内企業が自給用に投資するのみで、電力が余った場合のみ他企業に販売する。
しかし大きな投資プロジェクトも見えている。ある国内民間企業は外国企業ともにソーラーパネル生産工場をTay Ninh省に設置し、Hoa Lam社(ホーチミン市)も1,000万ドルで太陽電池生産工場の建設に着手している。
熱帯地域に位置するベトナムは年間を通じ日差しが強いため、太陽熱発電に適している。研究者によると、ホーチミン市では太陽光を毎日受けられるため、1m2あたり5.5kWh相当の電力に変換できる。
世界的に早くから登場していた太陽熱発電が発展を始めたのは1990年代初め。現在では、太陽熱発電開発のため強制手段をとる国もある。
イスラエルは、住宅の新築時に太陽熱を利用した湯沸かし器の設置を義務付けている。スペインでは、バルセロナ太陽熱勅令で、すべての新築家屋は湯沸しで消費する電力の60%を太陽熱エネルギーで行うよう義務付けている。
屋根に設置する太陽熱電池開発奨励策は、資金援助もしくは様々な税制度により一部の国で実施されている。日本では1994〜2005年末までに資金援助政策が行われ、約20万世帯が太陽熱発電を利用した。韓国は2011年に太陽熱発電300MWを目標とし、参加世帯へ費用の70%を援助している。
(Nhip Cau Dau Tu)
(2008/04/12 12:44更新) |