ベトナム:請負制から20年、食の安全保障を考える
個人農業請負制が導入されてから20年、この制度は農業や食糧生産に奇跡を起こし、Hong川(紅河)デルタとメコンデルタでは、飛躍的に農業生産量が伸びた。
数百万トンの食糧を輸入しなければならなかった国が、個人農業請負制導入からわずか1年で国内消費をまかなうだけでなく、世界2〜3位を争うコメ輸出国にまでなった。
1989年のコメ輸出量は142万トン、これまでの総輸出量は6,000万トンで年平均320万トン、この4年間では年460万トンとなっている。食糧自給が保障された後は多面的な発展を続け、各種の農林水産物で世界トップの輸出国となった。
食糧の安全保障を軽視することはできない。かつては食糧不足が経済社会に危機をおこし、それを乗り切るのに長い年月がかかった。稲作面積が2000年以降、年々減る傾向にあることは警鐘に値する。
2007年の稲の作付面積は2000年比で50万ha近く減り、水田では別の作物が栽培されたり住宅地など他の目的に使用されている。
ここ数年、国民ひとりあたりのコメ生産量は年々減少し、▽2004年:440.7キロ、▽2005年:431.2キロ、▽2006年:425.7キロ、▽2007年:421.0キロとなった。
この傾向は今後も続くと見られ、人口が年100万人以上増えているというだけでなく、耕地面積や天災・疫病などによる生産量の減少が原因にある。さらにベトナムは、温暖化による海面上昇の影響を最も受ける数カ国のひとつに入っている。
コメ輸出量も▽2005年:525万トン、▽2006年:464万3,000トン、▽2007年:450万トンと、ここ数年連続して減少している。長い間、食糧価格が高かったことで農家は畜産を休業していたが、最近では食品価格が食糧価格より上がり、さらに化学肥料の価格が高く上昇していることで、多くの畜産農家が戻る傾向にある。
また最近では北部の一部の省で美味しく良質のコメを輸出し、古米や備蓄米を輸入する現象も見られている。
この状況に我が国は、中央から地方、国民にいたるまで徹底して食の安全保障に特別な関心を示す必要がある。食糧生産用の作付面積が減っていることについて、特に水田の別の目的への使用は減らさなければならない。
食品需要への対応や、土地への有機肥料供給のためすべての農家で養豚を再開し、天災や疫病に備え食糧備蓄を強化すること、農村における川や海の堤防、灌漑などのインフラを改善することが重要だ。
また近年夏期の豊作により冬季への投資を忘れているが、これも正さなければならない。
生産、消費、備蓄のバランスをとるための毎年の調査が不可欠で、まずは輸出の際の十分な注意が欠かせない。なぜなら世界の需要は非常に大きく、価格は上昇傾向にある。
早く売ってしまえば損をする可能性があり、また異常気象や病気があった後では間に合わない。長い間豊作続きで安値で販売することに慣れた農家は「雨のために備える」ことを忘れている。
(Thanh Nien)
(2008/04/11 07:41更新) |