ベトナムの都市鉄道はバイクの代替手段となり得るか
ホーチミン市の都市鉄道第1線が2月21日に着工した。市人民委員会Le Hoang Quan人民委員長は、都市鉄道建設に全力を挙げ、慢性化している交通渋滞を解決すると述べた。
市の交通は全体の90%をバイク・自動車を中心とする個人の交通機関が占めている。都市鉄道管理委員会Tran Thi Anh Nguyet副委員長は、今後市民は、安全と、バイクでは決して得られない休息の時間という長所から、バイクに替えて都市鉄道を選ぶようになるという。
それを証明すべく、Nguyet氏は都市鉄道とバイクのコストを例に挙げる。都市鉄道は2014年の営業開始時、初乗り3,000ドン+300ドン/km、2015〜2019年は同4,000ドン+400ドン/km、2020年以降は5,000ドン+500ドン/kmとなる予定で、Ben Thanh市場からSuoi Tienまで行けば、料金は2014年に9,000ドン、2015年は1万2,000ドンで、2020年は1万5,000ドンとなる。
バイクでBen ThanhからSuoi Tienまで行けば、0.8リットル(20km)のガソリンを消費、これは1万ドンに相当し、さらにバイクの消耗コストがプラスされる。
だがこれで都市鉄道の方が安いとは言い切れない。バイクなら2人を運べるからだ。またNguyet氏によると、この料金では都市鉄道の営業コストをまかないきれない。バンコクやカラカス、サンティアゴなどの都市鉄道プロジェクトに携わった経験のあるホーチミン市建築大学のPhan Van Truong講師によると、世界の都市鉄道で利益が上がっている例は少なく、1日40万人を運ぶバンコク・マス・トランジット・システム(BTSC)でも大きな損失が出ている。
ベトナムの都市鉄道料金は、世界各国と比べ高くならない見込みだが、Truong氏は、「はたしてホーチミン市民のどの程度が毎日の都市鉄道利用に十分な資金を持つのか?」と疑問を投げかける。1世帯4人が利用すれば、1カ月の負担は100ドル近くになる。そして都市鉄道は下車した後、目的の場所までタクシーやバイクタクシーで行かなければならない。
都市鉄道が移動の便の良いバイクと競争することは難しいかもしれない。また料金も検討しなおす必要があるだろう。Truong氏は、「都市鉄道から利益を得ることを考えず、そのほかのより大きな経済・社会的利益を見るべき。多くの国が、都市鉄道の多額の損失を受け入れている」と話す。
またホーチミン市の別の問題として、人々の生活がまちまちなことがある。Ben Thanhに駅の拠点を置いても、ピーク時以外は十分な数の利用はない。そのため都市鉄道整備と並行しより適切な形に都市計画をやり直す必要がある。例えば駅周辺で高層ビルや地下駐車場建設を奨励するなどだ。
都市鉄道の整備は、都市空間を再構築する機会でもある。そのため市は、バイクとの競争で都市鉄道が有利になるよう条件を整える必要がある。Truong氏は、市民の都市鉄道利用を勧めるため、営業開始初期の無料運行も検討すべきと言う。赤字となることはすでにわかっており、それが少し増えたところで大きな問題はない。
また都市鉄道の効果を高めるために、郊外のより遠くに路線を延ばす必要があると話す。そこを都市空間再構築の基礎とし、衛星都市の建設がより容易にできるよう助けなければならない。
「これができれば中心部の密度は低下し、30km以上離れた衛星都市の整備により人々は都市鉄道を使わざるをえなくなり、バイクの減少という効果も見込める。ホーチミン市の将来にとって良いこと」とTruong氏は語る。
このたび都市設計コンペで1位を獲得した日建設計の案では、都市鉄道第1線をVung Tau三叉路まで伸ばし、第2線をCu ChiからTan Son Nhat空港、Thu Thiemを通り、Long Thanh空港を終点とすることを提案している。
(Thoi Bao Kinh Te Sai Gon)
(2008/03/20 03:22更新) |