ベトナムのインフレ抑制と長期競争力、試される舵取りの腕
アジアの多くの国が物価上昇に不安を抱いているなかで、ベトナムの物価上昇率は際立っている。
原油及び食品の値上がりの影響を受け、食糧・食品は2007年に比べ22%上昇している。ベトナム経済はこの10年間で年平均7.5%、2007年は8.5%の成長を遂げており、インフレは、長期に渡る成長の結果ともいえる。急速な経済成長に伴い銀行は貸付を強化しており(2007年は37%増)、同時に建設資材の需要も急増しインフレ圧力に拍車をかけている。
ベトナムはこの発展に歯止めをかけるつもりはなく、今年1月にNguyen Tan Dung首相は経済成長率9%達成も可能と発表した。しかし一方でNguyen Van Giau国家銀行総裁は、物価上昇がストライキを誘発しており、物価上昇を抑えることが緊急の課題だと述べている。Dung首相も担当機関に対し、国家銀行の監視及び予想業務を改善し、通貨政策をより良く管理するよう指示した。
インフレ抑制策はまだ具体的ではなく、目標も「経済成長率より低く」と掲げているだけだが、インフレ率は成長率より4%以上高くなっているのが現状だ。首相の発表後、国家銀行は貸付を制限するため預金準備率を引き上げた。また2月初めに国家銀行は、株式購入のための貸付を緩和したが、株価指数は2007年3月のピーク時に比べ21%落ちた。
中国やタイは国民の不満を解消すべく重要な食品の価格を管理する措置を採ったが、ベトナムは世界貿易機関(WTO)加盟後、経済自由化の方針を実行しつづけている。政府は国営企業の株式会社化を進め、以前国営企業により決められていた価格の統制を緩和している。
長期的な競争力向上のためベトナム政府が実施してきたことのいくつか、例えばインフラ整備も物価を押し上げる要因となっている。国際通貨基金(IMF)はこれらの費用がインフレを加速させると危惧しており、ベトナム政府に支出を抑えるよう助言している。一方で世界銀行は、経済発展の障害となる可能性があることから、引き続きインフラ整備を進めるよう助言している。
外国投資の増加、投機通貨がドン高を生み出した。2007年初め、国家銀行は投機に対抗すべくドルを外貨準備に買入れたが、資金がだぶついていた銀行は貸付を強化するようになった。2007年12月、国家銀行は戦術を変更し、ドル/ドンの取引を銀行間レートの±0.75%にまで拡大した。
HSBCによると、ベトナムドンが強くなることはインフレ抑制に貢献する。輸出への影響を心配する声も大きいが、原油や資材の輸入には有利になる。また株式化を目指している大企業が外資をひきつけるほど、ドン高の圧力は高まる。
国際経済の困難な状況が長びかなければ、ベトナムにとってチャンスとなる。輸出、特に農産物からの収益は大きいが、成長は国内需要から発生するものだ。外国からの需要に程よく対応しつつ、経済が過熱しないよう、またインフレ抑制を適切に進めれば、経済は安定成長を続けられるだろう。
(Doanh Nhan Sai Gon Cuoi Tuan)
(2008/03/18 02:53更新) |