ベトナム――昇るアジアの新星 前編
「東南アジア最高、アジア2位の成長率は今後も維持される。これが、アジアという空に昇る星としてベトナムをイメージ付けた理由だ」。
『Economist』と『The Gioi&Viet Nam』誌は1月8〜9日ハノイで、対外経済に関する国際会議を開催した。世界大手企業の代表500名が、『ベトナム―昇る新星』と題された会議に参加、ベトナム側からは政府首脳陣が出席した。冒頭の言葉は『Economist』の企業ネットワーク代表Justin Wood氏によるものである。
■急がれるインフラ整備
ベトナムのインフラ整備に対する不満は以前から叫ばれていた。会議でNguyen Tan Dung首相は開発の遅れを認め、これが今後の発展に少なくない影響を与えるだろうとし、民間企業、外国投資家の参加の必要性を唱えた。
General Electric(GE)、Nokia Siemens Networks、Tataの代表を前にDung首相は、これらの企業が現在投資を行う分野はベトナムが必要としているもので、なかでも通信開発が最優先事項で、その重点が全国民のインターネット利用を目標とするブロードバンド・移動通信インフラにあるとした。
首相はほかに、高速道路、高速鉄道、地下鉄などの交通インフラ開発が特に必要と述べた。航空も、貿易、旅行の発展のため整備を急ぐ。この20年でベトナムの航空分野は年率15〜18%の成長を遂げており、最近ベトナム航空がBoeingやAirbusなどから航空機を大量購入したが、これでも十分でない。航海・海運分野も年間15〜20%の成長を見せており投資が必要だ。
首相は電力と鉄鋼分野での投資が緊急に必要だと述べる。2007年末、ベトナムは600億KWの電力を供給した。政府の試算によると現在の経済成長率から見て、2010年までに1,200億KWの電力が必要となる。
鉄鋼分野ではこのところ投資が増えている。TataはHa Tinh省Vung Angで鉄鉱石開発を行う。ベトナムの鉄鉱石の埋蔵量は10億トン程度だが、うちVung Ang地域で5億トン以上を占める。首相はベトナムが鉄鉱石の開発、粗鋼生産を強く奨励していると強調した。
Nokia Siemens Networksのアジア・太平洋地域責任者Christian Fredrikson氏は、Nokiaのような大企業が通信インフラに投資する時期が来たと述べる。ベトナムの通信は2007年に大きく成長、うち移動通信の契約は倍増となる1,800万件に達した。
2015年までのブロードバンド開発計画も重要だ。研究によると電話契約が10%伸びるごとにGDP成長を0.5%後押しする。ブロードバンドでは同じ10%の伸びに対しGDP成長への貢献は6倍になる。Fredrikson氏は、Nokiaが都市と農村の通信環境の格差解消に加わることを望んでいると明らかにし、「通常の通信とブロードバンド双方のインフラ開発をサポートできる」と話している。
一方GEの東南アジア地域責任者Stuart Dean氏は、ベトナムで電力、原油・ガス分野で事業を行って14年が経ち、現在グループがハイフォンに工場を建設、他の地方にも拡大する計画であることを明らかにした。ベトナムで生産する製品の100%を輸出するという。GEは航空、原油・ガス、インフラ分野への投資も視野に入れている。
■巨大な外資を消化しきれるか
2007年の外国直接投資(FDI)誘致額203億ドルという数字は、外国投資家から驚きと懐疑をもって迎えられた。懐疑は、ベトナムがこの巨大な資本を消化しきれるのかというもので、これには根拠がある。
計画投資省の統計によると、この10年間でベトナムに約束されたFDIは1,000億ドルに達するが、現時点で実行額は450億ドルにとどまる。全国の工業団地のインフラ整備で成功しているSaigon InvestのDang Thanh Tam社長は、膨張するFDIは簡単な問題ではないと指摘する。経済発展に見合わないインフラ以外に、地方幹部の問題もビジネスの障害となっており、巨大な投資の実行は非常に難しくなると指摘する。
一方HSBC VietnamのThomas Tobin支店長は、様々な分野で投資を必要としていることからベトナムはFDIを消化しきれるという。ベトナムが現在非常に積極的になっているインフラ以外に、重要なのは投資を選択し、それをどう使うかだ。
人材を育成するつもりがあるのか、1〜2年の短期ビジネスを考えていないかなど、長期的な計画で投資家を選択することを知らねばならない。Tobin氏は、「投資家は韓国企業を見習うべき。彼らはベトナムで5年後、10年後、はては15年後に利益を上げることを考えている」と述べる。
Tobin氏の指摘する外国投資家のふるい分けは、計画投資省の方針でもある。ベトナムはすでに投資のより分けを実施しており、それは大企業でも、ベトナムでの長い実績がある企業でも例外でない。
鉄鋼グループPOSCOがその例に挙げられる。グループがベトナムとかかわって15年以上、ベトナム企業と7つの合弁会社を設立し、2006年には11億ドルの熱間・冷間圧延工場も建設、現在100億ドルにも上る他のプロジェクトの計画も進めている。しかし計画投資省は、Khanh Hoa省Van Phongに第2の鉄鋼工場を作るという計画を承認していない。
この出来事は、ベトナムのFDI認可の新たな考え方を象徴するもので、Vo Hong Phuc計画投資大臣はPOSCOに対し許可をまだ与えていない理由を次のように説明する。
Van Phong湾は50万トン級の船舶を受け入れられるベトナム最大の中継港にする計画で、POSCOの工場建設による著しい環境汚染が懸念される。プロジェクトのパートナーは造船を行うVinashinだが、同社はKhanh Hoa省におけるHyundaiグループとの合弁造船所における環境問題を解決し終えていない。Phuc大臣は、POSCOの15年の活動を支持しているが、このほかの方法は採れないと言う。近年ベトナムは、FDIと環境保護の面で評価・検討を厳格化している。
重要インフラ事業に参加する外資企業の選択についてシンガポールSingtel社のベトナム駐在代表Casey Lan氏は、世界的に二つの方法があると指摘した。ひとつが、一部プロジェクトについて初期入札を行い、その後メイン業者を選ぶ方法で、政府は最も水準の高い企業にプロジェクトを任せる。
もう一つがインドネシアなどが行っている方法で、入札価格に拠らず、政府に対し支援を行える企業のみ対象とし、その後政府が最も信頼できると判断した企業を選ぶものだ。2002年以前、通信分野でインドネシアはベトナムと似た状態にあったが、政府と共に開発に参加する企業を選ぶ方法を導入し、携帯電話数はこれまでに9倍に伸び、通話料も米国の1分0.01セントを下回るようになった。
これについてPhuc大臣は、MobiFoneの株式化には多数の外国企業が参加を希望しているが、ベトナムはその企業が長期的な投資を考えているか、マネジメント、技術水準はどうかなどの点を重視すると言う。電力に関して政府はBOT(建設・運営・移転)方式での実施を試験的に行っており、Phu My 2、3火力発電所で成功している。Phu My 2発電所はBPと日本企業、Phu My 3はフランス企業と日本企業が参加している。
(続く)
(Nhip Cau Dau Tu)
(2008/01/28 07:42更新) |