ベトナムのWTO加盟から1年、これからが本番
『Doanh Nhan Sai Gon』誌とホーチミン市経済院は12月17日、「WTO加盟から1年のベトナム企業」と題しセミナーを開催した。
専門家は、ベトナム経済はWTO加盟で一定の影響を受けたと述べる。これは輸出や外国投資の過去に例を見ない伸びからも明らかだ。年初10カ月の輸出額は390億ドルで、商工業省は年間で前年比20%増の485億ドルに達すると見ている。
外国直接投資(FDI)誘致額は年間で170億ドルが見込まれ、民間セクターの生産への投資は引き続き強く成長し118兆ドン(約73億7,500万ドル)で78.5%増、国営セクターは44兆ドン(約27億5,000万ドル)で72%増となっている。外国投資家の証券市場への参加も増え、間接投資額は激増している。国民は、家電量販店の増加など小売市場の活発な動きでWTO加盟を実感することとなった。
大企業の進出時には、長い間隠されていた弱点が露見する。例えばインフラは、新規の投資家をしり込みさせるほど貧弱だ。Nikeはベトナムでの生産拡大を望んだが、港を調査したところ、投資拡大すればコンテナが待つことになると判明したため、利益ダウンを考え投資を延期した。
国際縫製訓練社Diep Thanh Kiet社長によると、繊維分野の今年の輸出額は78億ドルで前年比30%増、来年の目標は95億ドルだが、裾野産業はまだ弱い。
企業は製品価値を高めたいが、ワーカーから管理者、マーケティング担当者まで人材は不足している。FPTのHoang Minh Chau副社長は、同社のソフトウェア輸出成長率は70〜80%で人材に頼るところが大きいが、ベトナム企業は国際的な仕事に従事する人材が非常に不足していると話した。
世界銀行と国際金融公社(IFC)による『ビジネス環境の現状2008』では、改革が速い国のひとつと評価されたが、投資家保護や契約遵守など法律面に弱点があるとされた。水産物や革靴で起こされた反ダンピング訴訟は、ベトナム側の不備に原因がある。我が国にはまだ、反ダンピング、自衛、助成という企業を保護するために重要な各国同様の法律もない。
ベトナムの2006年の小売業売上高は360億ドルで2010年には500億ドルに達すると見られ、外国投資家はアジア2位、世界4位の潜在力を持つとされるベトナム市場への参入を狙っている。ベトナム小売業協会Dinh Thi My Loan書記長は、WTO加盟から1年で、市場では多様な競争が見られるようになったが、小売市場の開放時には、大手企業がライバルが倒産するまで赤字販売し、その後価格を上げる方法を採る可能性があると指摘した。
Saigon Co-opのNguyen Ngoc Hoa社長によると、世界の大手小売が参入に向け動いていることが、国内企業の事業拡大、連携強化につながった。Saigon Co-opは今年、市内の店舗を26に増やし、2010年までに50店舗とする。
年初10カ月のFDI誘致は110億ドル。だが新規プロジェクトの90%がまだ活動を始めていない。不動産への投資も多いが、これは不動産投機が始まる傾向だ。投資の実行は40億ドルに達しておらず、今年の越僑からの送金にも満たない。
WTO効果は都市部にとどまり、農村部での生産増には結びついていない。WTO加盟は輸出力の強化にいたっておらず、70億ドル超の輸入超過がこれを如実に表している。
商務省元次官Luong Van Tu氏は原料輸入について、農業国であるはずのベトナムが4億5,000万ドル相当のトウモロコシや豆を輸入し、鉄鉱石があるのに中国から粗鋼を輸入しているなどという矛盾を多く指摘した。Le Dang Doanh氏は、物価上昇率も異常に高く地域最高で、適切な対策をとらなければWTO加盟の機会を生かせず経済は多くの危機に直面するという。
10年の交渉期間を費やし開いた世界経済の扉、足を踏み入れてからまだ1年だ。現在見えているマイナス面は一部に過ぎず、WTOは経済を短期間で改善する特効薬でもない。
今年達成できた結果、2008年やそれ以降の経済展望は明るいが、これを継続できるかは、魅力的で競争力の高い国にできるかという政府の舵取りにかかっている。また企業は、この1年世界と接し見えた弱点を直ちに克服しなければならない。
(Doanh Nhan Sai Gon)
(2008/01/04 06:57更新) |