中越国境、子供の誘拐に怯える村
女性の人身売買が多い中国国境付近で、幼い少年が次々誘拐される事態が起きている。Ha Giang省Yen Binh県の村々を訪ねた。
昨年12月のある深夜、覆面をした2人の男が、国境沿いのSung Chang村Trong Lo集落にあるPaoさん(26歳)宅に押し入った。山の斜面にぽつんとたたずむPaoさんの家には男女2人の幼い子供がいた。
ノックの音で扉を開けたPaoさんは、胸を刺されその場で死亡。妻は逃げ出したが、腹部を3回刺され庭で倒れた。男達は男の子を布で包み、国境方面へ走り去ったという。翌朝、難を逃れた女の子の泣き叫ぶ声で、村の人々はようやく事件を知った。
今年2月末には、Bach Dich村のVang Chu Xayさん(26歳)夫妻宅に数人のグループが現れた。灯りを手に応対に出たXayさんの母親が目にしたのは、中国側からやって来た知り合いの姿。グループの1人が杖で彼女の頭部を打ち、残りのメンバーはハンマーで夫妻を殺害、6歳、4歳、1歳の3人息子を連れ去った。
村の療養所で治療中のXayさんの母親は、「気絶した私を死んだと思ったんだろう。犯人は私を殴るのをやめ、孫を連れ去った。奴らはうちに3度やって来て、食事をしたこともあるから、家の内部に詳しかった」と話している。
6月には両親を殺害後、3歳と1歳の男の子を連れ去る事件が発生し、最近では9月16日深夜に、弟の家から物音が聞こえるのを耳にした兄が様子を見に行くと、弟夫妻の2人の子供を4人の青年が抱え、国境方面に連れ去ろうとしているところに出くわした。
夫妻は重傷を負っており、彼は丘の上に駆け上がって大声で助けを呼んだ。ベトナム・中国双方の国境警備隊が同日中に犯行グループを目にし、警備隊に追われた犯人は子供を置き去りにした。
省の警察幹部は、「口封じのために子供の家族を殺害するのが手口。犯行グループの大半は、中国側からやって来てこの地の人々と親しくしている者」と話す。
省国境警備隊の大佐によると、子供の誘拐は1995年から発生していたが、2004年になって激増、国境沿いの各村に広がり、数十人の少年が連れ去られた。行方はまだ掴めていない。ほとんどの犯行グループは、雲南省のある県からやって来ているという情報もある。
警備隊は、誘拐された少年は健康状態や活発さ、頭の良さなどに応じ1,200万~3,000万ドン(約750~1,875ドル)で中国の子宝に恵まれない富裕層に売り飛ばされるとの情報を掴んでいる。
(Tuoi Tre Cuoi Tuan)
(2007/12/26 08:15更新) |