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コラム |
ベトナム:ハーモニカお父さんと子供たち
つばの擦り切れた帽子から白髪がのぞくRanさんは、誰にでも気さくに話しかけ、握手を交わす。彼はダナン市内に4つあるストリートチルドレン支援センターのうち、Nguyen Cong Tru通りにある「家」に住んでいる。
この「家」に一緒に住む子供たちは、外からRanさんのバイクの音が聞こえると飛び出し、留守中の出来事を嬉しそうに話す。
1975年以前、Ranさんはストリートチルドレンにどうにか近付こうとハーモニカ片手に道路や駅、船着場、市場、映画館などに通った。路上に座るRanさんを子供たちが取り囲み、ハーモニカの音色や話に聞き入った。ほとんどは戦争で家族を失い、連れ立って地方から出てきた子供たちだ。
Ranさんは大きなパーティーを見ると、食事の残り物を分けてくれるよう頼み、路上で飢えに苦しむ子供たちに食べさせた。
南部解放後、ダナン市にまだストリートチルドレン支援センターがないころ、Ranさんは友人と協力し、子供たちの食事や文字の読み書きのための寄付を募った。
それでも子供たちの路上生活は続き、なんとか子供たちの家を建てたいと願う彼は、当時の仏ミッテラン大統領夫人に、友人を介し手紙を送った。
ハーモニカ片手に子供たちと触れ合うRanさんの話に感動した夫人は、1991年の訪越時に彼と面会し、その後間もなく慈善組織「France Libertes」の支援で、ストリートチルドレン支援センターが誕生した。Ranさんや子供たちはここを「家」、そして「家族」と呼ぶ。
Ranさんは夜になると、市内を回り放浪する子供を探す。彼らに接触し「家」に連れ帰り、親子としての信頼や愛情を培うのは並大抵のことではない。それでもRanさんは続けている。
Nho君は、「Ranお父さん」にゴミ捨て場で見つけられた。4人兄弟の彼の両親は離婚し、兄弟で空き瓶の収集や皿洗いをして稼ぎ、夜になるとゴミ収集場の側で兄弟寄り添って寝ていた。
それを見つけたRanさんは、人を信じようとしない彼らを粘り強く説得し、「家」に連れ帰った。「家」に来た兄弟は初め、それぞれのベッドではなく、路上生活の頃同様、身を守るように兄弟で抱き合い、地べたで寝ていたという。
Nho君は現在、ホーチミン市のThao Danストリートチルドレン支援クラブの教育員として働いている。Hung君は売り物の宝くじを盗まれ、橋から川に身を投げようとしているところを助けられた。今では腕利きの理髪師だ。
年老いた「Ranお父さん」は今も市内の「家」を回り、ほかの「お父さん」、「お母さん」、そして子供たちの世話をしている。どこへ行くにも手にはハーモニカ、その周りを子供たちが囲む。
Ranさんの活動の様子はNHKの特集や、山口大学の学生によるドキュメンタリー映画でも取り上げられ、多くの人々に感動を与えている。
(Tuoi Tre)
(2007/11/06 02:39更新) |
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