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コラム

ベトナムカントー橋崩落事故――11人を救出したある農民


 橋桁が瞬く間に崩壊し、およそ100名が突然の災難に見舞われた日、農家のLe Tan Thanhさんはカントー橋崩落事故で、崩れ落ちたコンクリートの中から11人を救い出した。

 Thanhさんの家は事故現場から300m足らずの場所にあった。9月26日朝、茶碗の飯を口に運ぼうとしていた時、地響を聞いた。その直後「橋が崩れた」「人がたくさん死んだ」という声が聞こえた。彼は茶碗を放り出し、外に飛び出してみると作業員らの家族が、夫や子供の名を涙ながらに叫んで走っていた。

 現場は見るも無残な光景だった。人々が木材や鉄、コンクリートに押しつぶされている。考える間もなく、彼は2人の被害者の上に載る鉄板を持ち上げようとしたが、上がらない。あわててバイクで家に戻り、電気鋸を持って現場に戻った。そのときはまだ救助隊は到着しておらず、彼は作業員や住民たちと被害者を救出した。

 「数十人が倒れていて、体中血まみれだった。仰向けに倒れていた男性の上には木の板が載っていて、声をかけたが返事がなかった。死んでいても遺体を引き出さねばと思い、鋸で板を切った。板が持ち上がると彼が『うっ』と息を吸ったので、ほっとした。彼の顔は血だらけで、足も骨折しており、年のくらいも分からなかった。その近くに倒れていた2人は、コンクリートの下敷きになって死んでいた」。

 コンクリート板が背中に載り、頭だけ出ている被害者がいた。持ち上げようとしたができず、Thanhさんは鉄板をコンクリート塊に差込み、梃子にして持ち上げ、被害者を外に出した。

 「彼は60kg以上で、普通なら持ち上げることもできなかっただろう。でもそのときは担げた。外に出すと彼の意識が戻り、水を欲しがった。近くの家に駆け込みカップに冷たい水を入れて飲ませ、他の人に看護を頼んだ」。

 身動きが取れない作業員達を救うため、Thanhさんは皆と一緒に崩れ落ちたコンクリートと鉄筋の塊にしがみ付いて柱を登り、立ちふさがる木を切った。

 「誰かいるか? 誰か生きてるか?」と大声で叫ぶと、「助けてくれ」という答えもあれば、言葉にならないうめき声や弱々しい声もあった。Thanhさんたちは5人を救助したが、1人は死んだ。「あと9人はいるんだ」とある被害者がうなされていた。

 Thanhさんがすぐに下に降りると、いると言われた作業場は、地面に深く落ちていた。「鋸で切り中に入ったが誰もいない。水に深く漬かっていて、みな水の底に沈んでいるのだと思い、手探りで探した。首のあたりまで水があったので、両足であちこち探ったが見つからず、泥水が赤く染まっていった。でも誰も・・・」と彼は喉を詰まらせた。

 その後、彼は頭痛を感じ、息苦しくなったため医者に頭痛薬を求めた。医者は休むよう声をかけ、注射したあと、水とパンを渡された。

 「一口かじったが、飲み込めなかった。あんな凄惨な光景を目にして、食欲など湧くものか。医者に、人を助けなければ、じっとしては居られないと言って現場に戻った。暗くなった頃には、手が持ちあがらず着替えもできないほどに疲れていた。血まみれの服を着たまま、家に帰った」。

 あんな恐ろしい光景はこれまで見たことがなかったと彼は言う。「もう一度、同じことができますか?」と尋ねると、「思い出すと背筋が寒くなる。でも見てみぬ振りなんてできない。彼らは近所の人たち。船から誰か落ちれば見過ごせないし、ましてや多くの人々がそのように苦しんでいれば・・・」。

 Thanhさんの家は湿地の曲がりくねった道の裏にある。毎日彼は木を買い付け、その木を切り、それを売って生計を立てている。家に電気鋸があったのはそのためだ。

 私達が家に行くと、ちょうど彼が帰ってきた。服は汚れ、肩には電気鋸を載せていた。このところ仕事を休んで金が尽きたので、働きに出ねばならないという。足の甲は腫れあがり、あごの下には傷がひとつ、両太腿には青黒いあざが無数にある。

 「あのときは全く痛みを感じず、自分が怪我をしているのに気づかなかった。家に帰ってから痛みに気づき、あごに触ってわかった」それらは現場で救助に奮闘した1日の痕跡だった。

(Tuoi Tre)

(2007/10/09 06:02更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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