ベトナム自動車産業、過保護政策撤廃と市場拡大が必須
38年間のドイツ滞在経験を持つ自動車産業コンサルタント・設計士のNguyen Minh Dong氏が、国内自動車産業の分析および発展対策を発表した。
ベトナムの自動車産業は、他のアジア諸国から40〜50年遅れでスタートし、政府は諸外国に追いつこうと投資誘致を進めた。1992年からは国の重要産業に指定、優遇政策を講じ、それは特に完成車に対する極めて高い輸入税という形で表れた。結果、国内生産車の価格は他国の2〜3倍にまで跳ね上がった。
メーカーは、投資許可書に記載された「10年間で内地化率を30〜40%に引き上げる」という誓約を実現できていない。現時点で内地化率は2〜12%に留まり、国産部品はチューブ、タイヤ、バッテリー、電気コード、座席シートなど単純工程で生産されるものに限られる。
政府が内地化率アップに向け、部品や完成車の輸入税による規制に重点を傾けすぎたため自動車産業は行き詰まっている。各メーカーが自社で部品を生産する割合は1台あたり36〜45%に留まるが、小規模で発展戦略も不十分なベトナム市場で、メーカーは部品生産に消極的だ。
「Vietnam AutoExpo 2007」開催中に開かれたセミナーの席上、工業戦略政策研究所のPhan Dang Tuat所長は、「自動車1台あたり2万〜3万個の部品が使われており、自動車組立メーカー1社あたり部品メーカー20社以上が必要だが、国内では自動車組立企業約50社に対し、部品メーカーは約40社に留まる」と発表した。
財務省税務総局担当者は、「政府の過保護政策による国内生産車の高価格設定がメーカーの競争力を減退させている。国産できない部品にも高い輸入税が課せられるなど問題は山積み」と述べた。ある官僚によると、政府は裾野産業の発展により価格引き下げを図る構えだが、一方で特別消費税が自動車販売に歯止めをかけている。
理由は、「道路が狭く、環境汚染や交通事故の増加が懸念されるため」だが、国民1,000人あたりの自動車所有台数は8台、中国の24台、タイの152台、韓国の228台、米国の682台を大きく下回る。
ドイツとベトナムは国土(約33万km2)と人口(約8,300万人)が同水準だが、自動車・バイク台数はベトナムの67万台・1,800万台に対し、ドイツは5,200万台・700万台で交通渋滞は深刻化していない。
また環境対策が遅れ、2007年にようやくユーロ2レベルの排ガス規制が適用された。さらに品質検査規定も確立しておらず、メーカーに対しリコールを強制できる機関が明確に定められていない。
自動車産業が停滞し、中国やマレーシア、タイ、韓国などの市場と化さないためにも、▽先進国レベルの高度な技術基準適用、▽諸外国からの技術移転、▽排ガス規制、省エネ、安全対策の強化、▽交通事故の削減が必須だ。
具体的には、1)投資誘致が見込める市場作り:中国の自動車生産台数は2006年で700万台、2008年には900万台を見込む中、ベトナムの目標は2020年で22万台に留まる。市場規模拡大には、世界貿易機関(WTO)加盟時の誓約に基づき完成車輸入税を引き下げ、特別消費税課税を撤廃、代わりに環境税や交通料金、自動車保険を導入する。
2)内地化率の向上:政府は、技術基準を満たす部品メーカーに対し税制面で優遇し、裾野産業の発展を促進する。自動車メーカーが公認もしくは導入した部品は、10年以上の付加価値税(VAT)や事業所得税の免税制度などを導入する。
3)環境対策:排ガス規制にユーロ3やユーロ4などを適用し、低公害ガソリンにシフトする、などの対策が必要だろう。
(Thanh Nien)
(2007/09/21 07:29更新) |