ベトナム:製紙分野への投資が活発化
パルプ・製紙工場の起工、投資認可が増えており、この分野に発展の兆しが見えている。だが工場の規模は域内諸国と比べ小さく、環境に悪影響を与えていることも事実だ。
この15〜20年で、非国営セクターの製紙事業が活発化した。正式統計はないが、少なくとも全国で数百社が活動していると見られる。だが発展方針が策定されていないことから、企業は各々の方法で生産、投資は分散し、どの地方にも小規模製紙工場が立ち上げられている状態だ。ある業者は3つの生産拠点を持つが、それらの連携を図っていない。
このような工場では主に、外国からパルプを輸入または国内外から古紙を購入し、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、印刷用紙などの普通紙を製造しており、包装紙やダンボール、工業・輸出用梱包材を生産する能力はない。
Bac Ninh省Yen Phong県Phong Khe村の製紙工場経営者は、「村には独自の市場がある。Phong Kheの紙をけなす人は多いが、我々はこの数十年、元気にやっている」と頑なだ。
この1年で多数のプロジェクトが認可され、起工した。ベトナム紙・パルプ協会(VPPA)のVu Ngoc Bao書記長は、「特に今年は製紙分野の動きが活発」と語る。2000〜06年、100%外資企業としてはNew Toyo社だけが参入していたが、この2年で様々なプロジェクトが立ち上げられ、パルプと製紙、普通紙と工業用製品のバランス化に貢献している。
Chanh Duong社(台湾)は2006年9月、包装紙年産能力10万トンの工場を操業開始、続いて今年7月、タイ企業のプロジェクトが起工、8月にはHau Giang省Song Hau工業団地で総面積200haのLee & Man社(香港)のプロジェクトが起工した。投資総額12億ドルで過去最大級の同プロジェクトは第1期、年33万トンのパルプと42万トンの紙を生産する。
また今年政府は、Bai Bang製紙工場に対しプロジェクト第2期として、年産能力25万トンへの拡張を許可している。
この他起工済み、投資認可済みのプロジェクトとしてVina Kraft社(年産能力22万トン)やAn Binh製紙(年産能力15万トン)などが、また事業化可能性調査段階のものとして、Sai Gon製紙工場のティッシュペーパー、包装紙生産、Sojitz社の製紙プロジェクト(年産能力60万トン)などがある。
むろん懸念事項もある。Bao氏によると、インドネシアの製紙工場は年産能力60万トン程度、中国海南島では1ラインで100万トン、ベトナムの製紙工場は生産能力が低いがゆえ、関税減税が大きく進む中で、価格で競争できなくなっている。
数十年前に中国は、年産能力2万トンの工場を閉鎖した。フィンランドやカナダなどの製紙産業基盤が整っている国も、環境への影響を考慮し年産能力100万トン以下の工場を閉鎖している。
一方ベトナムでは、年産能力10万トン程度の工場がいまだ多数活動している。ベトナム製紙総公社が使用している生産ラインは非常に古いもので、Tan Mai社、Bai Bang社という規模・設備ともに国内最大の2社でも、70〜80年代の生産設備しか持っていない。
パルプ生産や製紙には工程で多数の化学物質を使用するが、ある専門家は、利益が上がらなければ、環境汚染も解決できないと話す。利益が低ければ、煤煙や廃水処理に投資する資金は出ない。
投資認可に関する明確な規定がなく、管理機関は工場の設備や質、生産規模についてあいまいな対応しかとってこなかった。これが、本来なら廃棄処分となるような時代遅れの設備を、外国企業がベトナムへ合法的に輸出する抜け穴となっている。
また、小規模工場が多数存在することから、地下水源にも影響が出ている。先進国では1トンの紙生産に7〜15m3しか水を使用しないが、ベトナムでは設備や技術の遅れから30〜100m3使用している。
(Thoi Bao Kinh Te Viet Nam)
(2007/09/15 02:28更新) |