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コラム |
ベトナム:「夜の蝶」が舞う通り
ホーチミン市5区と10区の境Nguyen Chi Thanh通り、ここには夜な夜なバイクで客を取る売春婦が出現する。
ある日の夕暮れ、酒の入った筆者と10 区の遊び人Tはこの通りの6差路に出た。すると間もなくNouvo、Attilaといったスクーターに乗った女性が、マスクをしたまま声をかけてくる。「遊ばない?」。
10人近くをやり過ごし、TはWaveに乗った小柄な女性に目を付け、1時間20万ドン(約12.5ドル)でOKした。TがIDカードを携帯していないと知ると、彼女はある喫茶店に立ち寄り、出てくるやTの手に他人のIDカードのコピーをねじこんだ。ホテルで筆者が待合室に腰をすえると、30分と経たないうちに、二桁に達する数の売春婦がバイクでやって来た。連れの客はほとんどが中年男性、中には子供を学校から家へ送り届け、そのままやって来たと思われる児童用のバッグを抱えた男もいた。
Tの買った女性Phuongは26歳、子持ち。借家で子供と暮し、毎日バイクタクシーでこの地区にやって来ては「仕事」に出るためのバイクを借り、客を探している。この地区の売春婦の多くが、出産経験者という話もある。それより若い層はほとんどが麻薬中毒、外見にも体力にも恵まれないためオイシイ仕事に就けず、この地区でその日暮らしを続けているという。これら女性達を取り仕切り、利益を得ているのが元締めと売春婦専用のバイクタクシー運転手だ。
Phuongは先週、元締めからある客を取るよう強要された。客は、ある元締めの女性の元愛人で地域の実力者、とても断れなかった。Phuongが男に会うと、彼は高級ドラッグにふけっていた。子供の面倒を見るので家に帰りたいと伝えると、男は「そう、どうもありがと」と言っただけで一銭も渡さない。以来1週間、運が逃げたのか客がつかないという。
Phuongは現在、サイゴン橋近くにあるモーテルの主の下で働いている。IDカードのコピーを渡したのはこの主人の妻で、1回のレンタル料は1万ドン。Phuongが毎日バイクを借りているのは彼の所だ。ガソリン代は夫妻持ちだが、ホテル代を除いた金額を主人と折半すると、彼女の取り分は1回あたり5万ドン(約3ドル)程度にしかならない。
Tとともに、Nguyen Chi Thanh通りから、10区Ngo Quyen、Hoa Hao通りへ入った。すっかり夜の帳がおりたこの時刻は、売春婦専門のバイクタクシー達の活動時間だ。それぞれが女性1人を後ろに乗せている。誰もが「悪そうな」顔で、バイクの飛ばし方もひったくりのようだ。ほとんどがクスリを使用し前科者も多いという。公安の取締りが厳しいこの地区で、客を捕まえつつ公安から逃げられるのは彼らしかいない。以前Tは、4人の公安に捕まりそうになったバイクタクシーが、公安の乗るバイクを蹴り倒して映画さながらに走り去った光景を目にしたという。
この地区では約40人の女性が3人の大きな元締めの下で活動している。うちの1人Rは8区に住居を構え、売春婦専門バイクタクシーを自らやっている。彼の下にいる約20人の女性は毎夕10区に現れる。別の元締めKは、売春婦専門バイクタクシーをしていた時に知り合った女性と一緒に暮し始め、共に元締めの仕事をするようになった。Kはその後、自分の「妻」のみを送り届けるようになり、「妻」は元締めをしつつ、自ら客も取っている。彼らの下にいる女性は約10人。もう1人の元締めLの下にも10人程度いる。この元締めの女性は、売春婦以外にも専門バイクタクシーを養っている。彼らの日当は8万ドン(約5ドル)、夕方6時頃から夜中じゅうが仕事時間だ。
5区に住む男性は、売春婦専門バイクタクシーに声をかけられ、腹立たしさのあまり、「女を買うかとは何事だ! 俺はここに住んでるんだぞ!」と怒鳴りつけた。すると歩道に連れ込まれ、集まってきた彼らの仲間にボコボコにされた。また、事が済まないうちに売春婦に逃げられた2人組の男性。仕返ししてやろうと息巻いていると、周囲から「あきらめろ。バイクタクシーの奴等に殺されるぞ」と警告された。
(Thanh Nien)
(2007/07/28 02:31更新) |
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