ベトナム:預金保護、法整備でより効果を発揮
― 預金保険機構Bui Khac Son代表インタビュー ―
世界貿易機関(WTO)加盟後に預金保護政策が果たす役割について、預金保険機構のBui Khac Son代表に話を聞いた。
Q: ベトナムで預金保護政策が施行されて7年が経ちます。
A: ドイモイ政策により国内経済は急成長を遂げ、ビジネス環境改善、競争力向上のための科学技術導入、適正価格での製品・サービスの選択肢拡大が進みました。
国内の金融サービス業者の競争は今後激化するでしょう。法律や文化が異なる外国法人・個人との国際取引によりリスクは高まり、先の見通しも予測が難しくなると思われます。
諸外国で預金保険機構は、預金保護法(預金者保護法)により設立され、リスクを最小限に抑えた組織となっています。ベトナムの預金保護制度は、預金者の法的利益・権利を守ることに重点を置き、銀行の健全性を守るという役割を持っています。ですが預金者の権利およびシステム全体の安全性保障のためには、預金保護法の制定が必要です。
Q: 預金保護制度が施行されたのは1999年、証券法と消費者権利保護法令が施行された現在、預金保護法の制定は本当に必要なのでしょうか?
A: 消費者権利保護法令は1999年4月に施行、消費者の権利・利益が保護され、政府は生産・取引・サービスの管理を効果的に行えるようになりました。ですが市場経済発展に伴い、金融やITを筆頭に全く新しい製品・サービスが増加しました。消費者保護法令は、ベトナムが市場経済へ移行する過程で公布され、その時点で出現していないものも多いことから、想定外の事態も発生しています。
証券法は2006年6月に公布、株式上場、株式売買、証券投資、証券関連サービスについて定めています。証券取引についての規定が大半を占め、証券取引組織の権利保護については定められていますが、小口投資家の権利について具体的な規定はありません。
証券法で証券投資家に対するリスクからの保護について規定を設ける国もあります。先進国の多くでは預金保護に関する法律を制定しており、金融サービスの管理・ビジネスと消費者保護法とが密接に結びついています。
Q: ベトナムが預金保護政策を効果的に運用するにはどんな対策が?
A: WTO加盟後は、ビジネス環境の構築、公平な競争、リスク回避、経費節減に関して政府とベトナム企業の役割がより重要となります。国のリスク、事業体のリスク、国民の権利(消費者保護、預金者保護、投資家保護など)に対するリスクを軽減し、生活の質向上、安定した発展を確実にするために、政府の手腕が問われます。
(Thoi Bao Kinh Te Viet Nam)
(2007/04/03 03:53更新) |