インドに勝るベトナム 在ホーチミン塩崎総領事インタビュー
ホーチミン市において3年半に渡り、日本総領事として両国関係強化に貢献された塩崎氏、任期終了に際しお話しを伺った。
Q: 日本企業は現在、中国に工場を設置するとともに、ベトナムまたはインドに工場を設置しています。
A: 日本企業はベトナムの方がより良い条件が揃っていると感じているようです。インドでは工場を設立する際に7,000~8,000人、時には2万~3万人を雇用する必要があり、労働者管理は非常に難しいものがあります。
一方ベトナムでは工場の規模をこれより小さくできるため、管理もより容易になります。また文化や考え方といった点で、ベトナム人と日本人は、インド人と比べ近いものがあります。これは企業の投資決定に大きく影響する要素です。
ベトナムはASEAN自由貿易地域(AFTA)に参加しており、ベトナムでの生産イコールASEANでの生産と言うこともできます。これはインドにはないものです。
Q: 投資以外にベトナムと日本はどのような分野で協力できるのでしょうか?
A: APEC、ASEAN+3、ASEAN+6といった枠組みで、多数の問題について協力できます。両国関係は非常に良い時期にあると感じていますが、多少不安に思うことは、現在日本人の多くはベトナムの映画、書籍、テレビ番組をあまり見ることがなく、ベトナムにしても同様の状況があることです。韓国や中国の映画は溢れているのですが……。PR方法を知れば、ベトナムのイメージは日本人により魅力的に映り、両国関係にもメリットとなるでしょう。
Q: 3年半のベトナム滞在で、どのような変化を感じましたか?
A: 様々な変化がありましたが、渋滞など交通環境は日々悪化しています。現在のホーチミン市は10年前のタイ・バンコクのようです。地方からの移住人口が非常に多く、バイクや自動車の増加も留まるところを知りません。この問題に対する解決策を短期間で見つけるのは非常に難しいでしょう。
交通インフラの許容能力オーバーは、投資誘致のハードルでもあります。ホーチミン市のみならず、Bien HoaやVung Tauといった周辺地域と連携して解決する必要があるでしょう。
(Tuoi Tre)
(2007/03/05 05:19更新) |