対ベトナム支援事業、進捗改善が課題
― 世銀ベトナム事務所Klaus Rohland代表インタビュー ―
世界銀行ベトナム事務所Klaus Rohland代表は4年間の任期を終え、新天地モスクワへ向かう。世銀の対ベトナム、ホーチミン市支援プロジェクトについて話を聞いた。
Q: ベトナム、またホーチミン市の経済成長をどのように評価されますか?
A: 経済成長率は2005年が7.8%、2006年は8%超となり、貧困削減も進んでいます。ホーチミン市はハノイ市、ダナン市と並んで国全体の経済発展の鍵を握る大都市です。一方で成長加速に伴いこの数年で人口が急増、結果として教育や医療など公共サービスが不足するという問題に直面しています。
Q: 世界銀行のこの4年間の対越支援プロジェクトについて教えて下さい。
A: ベトナム向け融資額は4年間で30億ドル、経済成長と貧困削減をキーワードに様々な分野で支援を行いました。
ホーチミン市でのプロジェクトには、▽上水供給、▽環境衛生、▽電子政府構築、▽輸血センター設立などがあります。現在、ホーチミン市では総額3億6,000万ドルの支援事業が進められていますが、進捗の遅滞から支払実行額は約5,000万ドルに留まります。
Q: プロジェクト遅滞防止のためにどのような対策を講じるべきでしょうか?
A: ホーチミン市はプロジェクトの請負入札などのスキルを早急に改善すべきです。発展の鍵を握る重要都市であるため、世銀はプロジェクト進捗改善を担当する事務所を新設する計画があります。
Q: ベトナムにおけるプロジェクトの全体的な評価をお聞かせ願います。
A: プロジェクトの質は概ね良好で目標を達成しています。ですが完璧という訳ではありません。世界銀行のプロジェクト準備期間は世界平均で1案件あたり2年ですが、ベトナムでは3年、またプロジェクト実施期間は世界平均の5年に対し、ベトナムは7年です。この点をクリアすれば、ベトナムの成長は加速するでしょう。
Q: 世界銀行の今後の対越支援計画について教えて下さい。
A: ベトナムは国民所得が世界平均水準に達しつつあるため、今後は「支援」ではなく「協力」という体制に方向転換すると思います。世界銀行はベトナム政府と協力し、2006~2010年の5カ年経済社会発展計画、さらに世界貿易機関(WTO)の誓約実現をサポートし、高度成長継続を目指します。
▽国営銀行および公共財政改革、▽山岳地域における貧困削減、▽環境保護、▽インフラ整備などの面を重点的に、さらに行政・法務・汚職撲滅でも支援します。
Q: ベトナムの展望をどう見ますか?
A: 経済成長と貧困削減が著しい成果を挙げています。この5年間の成長率は平均7%を上回りましたが、行政改革やプロジェクト進捗が改善されれば10%も可能です。ベトナムは経済成長のモデルとされていますが、現状に留まらずさらなる発展を望みます。
(Sai Gon Giai Phong)
(2007/02/27 03:42更新) |