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コラム

メコンデルタに生まれた農民の暮らし


 メコン川流域ではコメの収穫期になると、自分の田んぼを持たない数万人の農民が小舟に乗って稲刈り作業の仕事を求めて集まってくる。彼らは幾本かの鎌を手に、村から村、省から省へと渡り歩く。

 正午、どす黒い雲を抱えた空が次第に低くなり、強い風が吹き雨が降り出した。Monさん親子は肥料の袋を慌てて被り、カッパ代わりにした。田んぼの中に雨宿りできるような場所はないので縮こまって座り、ご飯を掻き込んだ。白いご飯に小魚の煮付けと少しの野菜という質素な食事は、雨が交じり味が薄くなるがそれでもおいしそうに食べていた。寝食を屋外で過ごす厳しい環境の中で、刈り取った稲が永遠に自分達の物にはならないのに、2人の瞳には収穫期を迎える農民としての喜びが溢れていた。

 鶏が鳴き始める夜明け前、Canさんは母のMonさんと一緒に田んぼに出る準備を始めた。彼女はまだ12歳だが、家が貧しく夏休みには稲刈り労働者として働く。働き始めて今年が2年目だ。次第に激しくなる雨に、Monさんは娘に手を休めるように促し、畔の傍らにしゃがんだ。Monさんは「娘は私を助けるためによく頑張ってくれるんですよ」と話す。Canさんは濡れた顔を拭いながら振り返り、「今日でこの田んぼは全部刈り終わるので、私達は家に帰ります」と笑った。そして不意に、「ホーチミン市の家はすごくきれいなんでしょ? 道路は車とバイクでいっぱいだよね。1度でいいからSuoi Tien公園に行ってみたいな」と無邪気に笑った。農村で単純労働に従事する子供の夢はささやかである。しかし、生活は子供達の肩にも重くのしかかり、小さな夢でも実現は容易いものではない。

 厳しい自然と対峙する時、人は並外れた生命力を発揮する。メコンデルタ地域で農作業に従事する多くの子供達はめったに病気をしないという。雨に濡れ、風に吹かれ、屋外で生活し、きつい労働を1日中こなしても子供達はいたって元気なのである。Thanh君(13歳)とChon君(10歳)の兄弟2人は田んぼの中でネズミ捕り競争をしていた。Chon君は捕まえたネズミを掴みあげ、「持って帰ってお母さんに料理してもらうんだ。細かく刻んで唐辛子と炒めるとご飯がいくらでも食べられるよ」と微笑む。「噛みつかないの?」と聞くと「歯を折ってるから噛んでも痛くないよ」と言う。学校に行かず稲刈りをする理由を尋ねると、「今は夏休みだからお父さん、お母さんと一緒に働いて新学期に使う文房具や洋服を買うお金を稼いでるんだ」と答えた。

 Thanh君とChon君も稲刈り労働者として働いて2年目だ。Chon君の父Tongさんは「仕事はきついと思うけど、家には田んぼがないから、子供2人も働かせなきゃならない。家にいたって誰も面倒みてあげられないんですよ」と説明した。Thanh君は数日前に鎌で手を切り、手の傷に汚れた布がぞんざいに巻き付けられていた。「まだ痛む?」と聞くと「だいぶ治まったよ」と答え、Chon君と一緒に仮住まいのテントへ走って行った。先ほど捕まえられた2匹のネズミはChon君のズボンの腰に結わえられ、ぶらり、ぶらり、と揺れていた。

 稲刈り労働者の生活は貧しい。彼らの財産は1隻の小舟、数着の洋服、調理用石油コンロ、数個の鍋と田舎にある粗末な家だけである。Kien Giang省のHoaさん一家は3世代に渡って稲刈り労働者として生計を立て、Hoaさんと夫は20年以上この仕事を続けているという。家は田畑を持たず、4人の子供は学校に行かせず、小さい頃から一緒に働かせている。収穫期が始まってこれまで、Hoaさん一家は長さ5m、幅1.5mの小舟でHau Giang省、Can Tho省、An Giang省、Bac Lieu省 Ca Mau省などあらゆる地方へ出かけた。一家の収入は2カ月間で500万ドン(約330ドル)程度だという。Hoaさんの息子Giauさんは「どこに行ってもテント暮らしです。食事も寝る時も土の上です」と笑った。布製のテントは8m2に満たない広さだ。中には一枚のゴザが敷かれ、鍋、フライパン、石油コンロ、米びつ、蚊帳そして洋服が吊るしてあり、生温かい空気がこもっていた。テントの外には土の上に魚の頭や骨が散らばっており、とてもここで一家4人が寝食を共にしているとは想像できない環境だった。しかし多くの農民は、仕事が終わり、ご飯を食べたら後は寝るだけなのだ。Giauさんの妹のThanhさん(25歳)は「辛いことなんてありません。毎日仕事があるだけで満足です」と語った。

 労働者達は時には歌を歌ったりして日々を力強く生きているが、一日中、田んぼの水の中に浸かり稲を刈る女性の姿を見ると痛ましい気持ちになる。
日が傾き、刈り終えた藁に火が付けられた。風に流された煙が目に染みて、農民たちの姿がかすんで見えた。

(Doanh Nhan Sai Gon)

(2005/11/15 09:37更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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