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「新聞は国民の意見交換の場」、故 グエン・バン・リン 元書記長

 Nguyen Van Linh元ベトナム共産党書記長(故人)は第6回共産党大会からドイモイ政策の指導にあたり、在任中に「早急な解決が望まれる問題」という提言を共産党機関紙『Nhan Dan』に寄稿した。この提言はベトナムがドイモイ政策を実現する上で重要な指針となった。

 ペンネーム「N.V.L.」で連載の第1弾となった「早急な解決が望まれる問題」は、1987年5月25日付Nhan Dan新聞の一面に掲載された。ペンネームを使用した理由について元書記長は、「新聞は世論の関心を集めるのに絶大な効果があります。執筆者名を伏せることで国民に判断を委ねようと思いました」と述べた。元書記長は新聞が社会に与える影響力を高く評価し、記事をきっかけに新聞が汚職問題に注目し問題提起することを願っていた。
 当時は第6期国会第2回会議で党中央決議「4つの削減」が採択された直後で、中でもインフレ対策はドイモイ政策の過程で経済・社会の安定に不可欠だったが状況は悪化していた。元書記長は、インフレの背景には「不正な要因」も絡んでいるとした上で、「報道機関(新聞・ラジオ・テレビ)は、中央決議の方針に相反する行為について関係者や機関名を公表する責務があり、また司法機関は法律違反行為を厳重に処分し報道機関を通じ公表する責務がある」と主張した。
 元書記長の汚職撲滅精神は一貫して率直かつ具体的に記述され、第2弾(1987年5月26日掲載)では、「新聞社などの各機関は汚職撲滅運動を積極的に展開しているにも関らず、政府は国民の意見に無関心で無責任極まりない」と指摘した。
 記事では、一部官僚の行動についても言及されていたため多くの国民の支持を得る一方、汚職撲滅の実現を危ぶむ声も聞かれた。元書記長は1987年7月10日掲載のNhan Dan紙上で「他にも優先すべき問題が山積していることを理由に汚職撲滅運動を止めるよう忠告されたこともあったが、汚職撲滅は重大な問題であり今後も寄稿を続ける」と述べた。元書記長自身の厳しい立場を援護しようと、Nhan Dan紙は1987年7月13日付紙面で「“早急な解決が望まれる問題”記事の反響」を掲載した。

 1989年に新聞法、1992年3月31日の党中央委員会指導08号が施行され、「新聞は党や政府、社会組織の機関であり、国民が率直に意見交換を行う場である」ことが正式に確認されたが、元書記長はこれに先駆け1987年6月24日付記事で「新聞は国民が率直に意見交換できる場である」との見解を示していた。
 このシリーズは3年4カ月続き(最終回は1990年9月28日)、多くのベトナム国民の関心を集めた。


■早急な解決が望まれる問題(1987年掲載)
以下に元書記長の提言を抜粋して掲載する。

・各省・市の行政機関や指導部は、十分使用できる中古車や低価格のソ連(当時)製自動車があるにも関らず、新型高級車を購入していることは嘆かわしい。

・Hai Phong港で輸入された航空機用燃料は、ホーチミン市Tan Son Nhat空港に納入されるまで複数の業者を経由しているため価格が跳ね上がり、ドルで請求されるケースもある。他にも多くの原材料、燃料が利用者に届くまで横流しされ価格が釣り上げられている。これらの不正利益が政府歳入となるのか、もしくは個人の懐に流れ込んでいるのかが問題だ。関連当局による対策が望まれる。

・教員の多くが退職を希望している。賃金は低く生活は非常に苦しく、設備や教材は不足し職場環境が整備されていない。教室は狭く備品の故障や不足など学習環境は劣悪で、教科書は一冊を生徒5〜6人で使っている状況だ。

・このような状況で多くの機関が施設の建設や、指導部が使用する高級車の輸入などに大金を拠出している。各分野を牛耳る一部の人間が利益を享受し、教員の年収をはるかに超える多額の収入を得ている。

(Tuoi Tre)


(2005/08/14 08:59更新)

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