ベトナムのソフトウェア開発業界、日本市場に注目
各市場調査企業によると、米国はソフトウェア開発で委託割合が最も高く、大手企業の79%が海外に開発を委託している。IT産業の市場調査を専門とするIDC社は、米国企業の海外への委託額は2002年の90億ドルから2005年は172億ドルに増加すると推測している。しかし、世界最大の米国市場はベトナムのソフトウェア開発企業にとっては、非常に参入が難しい。
ベトナムソフトウェア企業協会(Vinasa)はその原因を、米国市場がインドと深い関係にあるからだと指摘する。インドのソフトウェア関連の輸出・サービスによる売上は、2008年には約500億〜800億ドルに達すると推測されており、米国市場においてベトナム企業は、英語能力に長け、人材も豊富なインド企業の足元にも及ばないのが現状だ。
米国市場への参入が困難なことから、ここ数年、一部のベトナム企業は日本市場へ目を向け始めた。2004年にはVinasaが主催し、郵政通信省Mai Liem Truc次官とベトナム企業13社による日本視察が実現した。また同年4月には同協会の代表2人とPham Gia Khiem副首相が貿易・投資促進のために日本で市場調査を行った。この年には20社を超す日本のIT企業をハノイの同協会へと迎え、2005年初めには日本貿易振興機構(JETRO)主催で東京で開かれたソフトウェア見本市にベトナム企業が参加した。
日本の三大IT企業協会であるJISA(情報サービス産業協会)、JPSA(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会)、JEITA(電子情報技術産業協会)によると、日本のソフトウェア開発における海外へのオフショア開発成長率は、日本のIT産業全体の成長率よりも高いという。経費節減のため、海外への開発委託を選択する日本企業は増加しており、最近ではインドや中国に委託していたものが、▽ベトナム、▽タイ、▽フィリピン、▽ミャンマーなどにシフトし始めているという。この方向転換の大きな要因は、中国やインド企業が大きな力を持ち始め、日本企業にとって直接の競争相手となったことが挙げられる。また日本企業がベトナム市場を選ぶ要因は、▽文化的共通点、▽地理的条件、▽政治の安定性、▽両国政府の友好関係、▽外資企業に対する優遇政策、▽人件費の安さなどがある。
VinasaのTruong Gia Binh会長は、日本を1)主な輸出相手国、2)技術移転・ソフトウェア開発分野支援国、3)長期的パートナーかつ顧客となり得るなどの点で、重要な市場だと認識している。日本市場は、参入したベトナム企業の年間成長率が100%超を達成したことからも先行きは明るい。
日本への開発実績を持つベトナム企業の経験を基に、Vinasaが推計したベトナムのソフトウェアの対日輸出額は、2010年には3億5,000万ドルに達し、日本市場シェアの10%を占める見込みだ。この間の年間成長率は80〜100%で、2009年より成長率は鈍化すると見ている。
これは決して楽観的な推計ではないが、より不利な条件下でも2010年までの年間成長率は50〜80%で、輸出額1億ドル、市場シェア約3%を占めると推測される。これは、ベトナムにとって明るい見通しには間違いないが、どちらの推計も、ベトナム企業が人材面でのハードルを乗り越えてはじめて達成できる。日本市場参入への成功は、日本語を熟知し日本文化やビジネスに明るいプログラマーの存在がカギとなる。
(Thoi Bao Kinh Te Viet Nam)
(2005/04/15 03:21更新) |