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コラム

エイズ患者と共に 竏?? 医師 Dong Van Ngoc 竏?


Dong Van Ngoc医師は僻地の麻薬中毒センターで、過酷な条件の中、エイズ患者と向き合い懸命に治療を続ける日々を送っている。

■不安を乗り越えいざ闘いの場へ
民家の影はとうに消え、鬱蒼と茂る森の中をどこまでも細く伸びる赤土の道を行きながら、焦がすような日差しと砂埃でぼんやりとかすむ眼前の光景に恐れを覚え、彼は踵を返し街へ帰ろうかとも考えていた。前へ進むのか、それとも帰るのか、躊躇していたその瞬間、遠くから女性達の明るい笑い声が聞こえてきた。その声に導かれるように進むと、女性の声が響くその場所こそが、自分がこれから働く麻薬中毒センターだった。あえて過酷な道を志願した逞しい女性たちの存在を知り、負けてはいられないと自分を奮い立たせ、センターの門をくぐった。
 当時センターは人手不足で、Ngoc医師は末期エイズ患者を任された。重症患者は寝たきりで、食事から排泄まで、何をするにも介助者の手を必要とする。彼の担当する科には33人の患者がいたが、介助者が足りず世話が行き届いていなかった。同センターのLe Van Hung副センター長は「末期患者1人に対し、少なくとも4人の介助者が必要です。このセンターで看護婦や医師は、治療だけでなく掃除や洗濯などの雑務もこなさねばなりません。仕事は実に過酷です」と話す。
ある日Ngoc医師を訪ねると、彼は刑務所から搬送されてきた重症患者を診察しているところだった。診察が終わると、「数日前、患者に注射しようとした時、患者に注射器を奪われ、反対に注射を打たれるところでした。素早く身を翻し難は逃れましたが、間一髪でした。まぁ、こんなことは日常茶飯事で、身を守るためにいつも注意せねばなりません」と身振りを交え明るく話してくれた。そんな話をしていると、患者の容体が急変したとの知らせが入り、彼は急いで病室に駆け付け患者の胸をやさしくさすり、まるで家族のように患者の手を握るのであった。彼の仕事ぶりと仕事にかける情熱は、既に医者という範囲を超えていた。
 センターで亡くなった患者の中にはこの場所で火葬された者もいる。しかし、ここには火葬場が建設されておらず、通常、重症患者はホーチミン市内の病院へ搬送される。彼は「ホーチミン市の病院は薬が豊富で治療設備も整っています。しかし、都市部の病院に移るということは、もうすぐ死を迎えるという悲しい意味を含んでいるのです」と低い声で話す。末期患者には身体的治療と同時に心のケアも必要だ。医者は患者にとって家族のような存在でなければならない。苦しみを分かち合い、体の痛みを和らげ、喜びを与え、気持ちを楽にしてやることが必要だ。Ngoc医師は、患者の顔の傷からとめどなく流れる膿を丁寧に拭き、患者の傍らに座っていつまでも話に耳を傾け、彼らとともに懐かしい歌を歌っていた。Hung氏は「医者としてだけの心構えでは、ここの患者を救うことは出来ません。母親のような温かい包容力が必要なのです」と語る。

■固い決意と周囲の反対
Ngoc医師が個人診療所を閉鎖し、勤務していた115病院も辞めてPhuoc Longという僻地で仕事をすると決意し友人達に知らせた時、誰一人彼を応援する者はいなかった。都市を捨てて森に行くことは普通の人間がやることではない、誰もがそう言った。
周囲がこぞって反対する中、親友のTrung Nguyenコーヒーの社長Dang Le Nguyen Vu氏だけが唯一の理解者だった。彼は「君の気持ちはよく分かるから反対はしない。でも君は、これから行こうとしている場所がどんなところか本当に知っているのか? これまで苦労してサイゴンで築いたものを捨て去る意味を、改めて考えることも必要ではないかな」と温かくも厳しい言葉をかけてくれた。
 田舎に帰省し、Phuoc Longで仕事を始めることを家族に報告すると、母親は深く考え込み、「他に選択肢はないの? なぜ、そこに行かなければならないの? そんな仕事をさせるために、高い教育を受けさせたのではありません。もし行くのなら、たとえ私が死んでもこの家には2度と帰って来ないで」と悲しんだという。彼の妻も決断を聞くと泣き崩れた。結婚してまだ4年にも満たないうちに告げられた彼の決意は、彼女には重すぎた。そしてその晩、沈黙が支配する夕食のテーブルで「ここに残るか離婚するかどちらかにして下さい」と静かに言った。その言葉が冗談などではないことはその眼差しから明らかだった。
その夜、彼は暗い部屋で一人、自分に問いかけた。妻だけでなく息子はまだ2歳だ。愛する家族と離れ、森で見ず知らずの患者を看病することに一体どんな意味があるのか? しかし、どんなに自分に問うても、心の答えは変わらなかった。
 出発の日、市の関係者以外に見送りは誰もいなかった。愛する家族でさえ、彼に手を振って見送ることはなかった。現地について1週間が経った頃、妻からふとんやインスタントラーメンなどの食品が届けられ、友人から安否を気遣う手紙や電話が寄せられるようになった。彼は「最近では母も理解してくれたようです。妻から母が私の体を心配していると聞きました。母は、時間ができたらたまには帰っておいでと言ってくれているようです」と微笑む。

■エイズに対する熱い思い
 彼はDa Latの出身で、1997年に医科大学を卒業後Don Duong県にある保健衛生センターで仕事をはじめた。そしてその9ヶ月後、115病院で働くこととなった。
115病院の伝染病科Vu Duc Thinh科長は「伝染病科で働きたいという希望を聞いた時、『この科で働いても患者は少ないし、お金は稼げないよ。他の医師達のように個人診療所を開業することもまず無理だね』と言ったのですが、彼に迷いはなかったようです」と、当時を振り返る。
彼は、病院が主催する様々なボランティア活動に進んで参加しており、特にエイズ患者のための活動には精力的で、エイズに関する勉強会が開かれることを知ると、科長のThinh氏に行かせてくれるよう懇願したという。後に彼は、友人から支援を受け個人診療所を開くが、そこに訪れるのは貧しい人々ばかりで、ストリートチルドレンは無料で診察していたという。
1998年頃、ホーチミン市では増加するエイズ患者のために、彼らを助けるボランティア活動が活発化していた。各病院の医師グループもボランティア活動に参加し、その中に彼の姿もあった。しかしこの頃は世間の偏見や差別がひどく、ボランティア活動に際し容赦無い中傷を浴びせられることも多かった。時には彼自身がエイズの疑いをかけられたこともあった。
その後医師達の熱心な活動が実り、多くの場所でエイズ患者を受け入れる環境が整いはじめた。彼は「エイズ患者の生活から学ぶことは計り知れません。生と死の狭間における人と人との共感、互いに助け合うことの大切さを彼らから教えられるのです」と語る。エイズ患者達との触れ合いで得たものが、この若い医師に大きな影響を与え、エイズ患者と生涯向き合うという勇敢な決意をさせた。
誰もが楽な仕事を望む中、あえて厳しい道を選んだ彼について115病院の院長は「勉強熱心な彼の姿勢は、全ての人間にとって模範となります。彼の決意が固いのはわかっていますが、病院に戻る意志があれば、我々は歓迎しますよ」と話す。麻薬中毒センターのセンター長は「いくら優秀な医師であってもこの病院で働くことは容易ではありません。ここは他の病院のように、条件も整っていなければ、勉強する時間もないほど過酷な現場です。彼の前にいた医師は激務に耐えられず去って行きました」と述べる。
彼は、そんな過酷な現場でこれからも闘っていけるのだろうか。いや、固い意志を持ち、あえて厳しい道を選んだ彼だからこそ、自分の決意を貫き通してくれると信じたい。

(Phap Luat)


(2005/03/30 07:56更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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