建設業界における汚職の実態
建設業界に長年従事してきたHさんは、ハノイのA2ビル建設工事における汚職事件に関する報道に怒りを抑えられずにいる。彼は「建設業界で働いて18年になりますが、勤めていた建設請負会社のどれもがあくどい手口で横領していました。それに見かねて何度も転職しましたが、もう限界です。収入減も覚悟で全く別の業界へ転職することにしました」と語った。彼が目撃した幾つかの横領の手口を紹介する。
1990年代に勤務していた建設会社は、社長のコネで、ある省の複数の郵便局工事を請け負った。設計会社はほとんどの工事で水増し請求を行い、資材の使用量をごまかした。この方法であれば工事の質を保ちつつ不当な利益を享受できる。施工会社もこれを暗黙の了解として分け前にあずかった。設計会社の契約料は建設費に一定の率を乗じて算出されるため、建設費を高くすれば利益も上がるのである。建設工事の審査機関がグルになっていることもある。水増し請求や資材横領の他に、建築資材の質を落とし着服するケースや、資材を別の工事に回すケースもある。
彼の会社がホーチミン市の9階建てアパート建設プロジェクトに参加した際、同時期にある省の郵便局建設工事も請け負った。アパート建設用資材の一部(数億ドン分)は夜中に郵便局の建設現場に運ばれ、結果的にマンション工事の質は落ち、1週間かけて作った支柱が軽い衝撃で損壊するという有様だった。
別の郵便局の電波送信システム工事では、コンクリート流し込み作業の度に社長がセメントの分量などを細かく指示したという。その後の調査で、セメントの実際の使用量が見積もりの半分であることが判明した。調査員が問い詰めると、社長は知らない素振りで「なぜ、このような見積もりが出されたのか全く分からない」とうそぶいた。ある村での郵便局建設工事では、9,300万ドン(約6,200ドル)の見積りのうち5,000万ドン(約3,330ドル)が横領された。
日本の建設会社から工業団地建設の一部を請け負った際、日本人専門家はコンクリートの厚さはミリ単位で指示を出し、僅かな差でも報告が求められ、そのため社長を始め作業員は不満を感じた。社長は専門家たちを懐柔すべく酒の席に誘ったが、誘いを断られ、それでも何度も誘ってようやく彼らは誘いに応じてくれた。その席で社長は“心づけ”を渡そうとしたが頑なに拒否され、彼は心底恥ずかしい思いをしたという。
信じ難い話だが、建設工事の請負を希望する業者が施工主や委託業者に賄賂を支払うのはもはや慣習になっている。また、工事の進行過程でも多くの“経費”が発生する。相場は地域により異なるが、請負業者は契約が決まれば施工主に建設費の12.5〜25%を支払うのが常だ。親しい間柄や、特別な理由がある場合は多少値下げされることもある。入札でも同様で、このような原因で工事の質が低下している。汚職が蔓延する建築業界に従事した彼は、「このような工事が行われた建物には恐ろしくてとても入居できません」と話している。
(Tuoi Tre Chu Nhat)
(2005/03/21 08:25更新) |