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知的障害者とともにカフェを営む日本人


 ホーチミン市1区Ton Duc Thang通りにあるカフェ「Hoa Anh Dao」を訪れると、江崎智里さんは本当に明るい笑顔で迎えてくれた。「智里はね、前より痩せちゃったんだよ」と言った私の友人に江崎さんは、「日本人の女の子はね、痩せてるのが好きなの。だから私は太りたくないの!」と答えた。そして彼女はとても面白い話を聞かせてくれた。ある日、彼女が街を歩いていると、すれ違う人たちが彼女を見て「あの女の子、本当に日本人そっくりだよね」とささやき合っていたというのだ。江崎さんが生まれ育った日本を離れ、ベトナムでの生活を始めて既に3年以上の月日が流れている。
 渡越前に江崎さんが持っていたベトナムに関する知識は、長く悲惨な戦争を経験し、そのために数多の人々がダイオキシンの被害に苦しんでいることだけだった。そのなかで何より心に残っていたのが、結合双生児ベトちゃん・ドクちゃんの話であったという。だが当時、ボランティア活動に専念していた彼女にとってベトナムは遥か遠い場所だった。
 同志社大学文学部で社会福祉を学んでいた彼女は、1998年ベトナムで開催された障害児教育・福祉に関するセミナーに参加し、そこで発展途上国と呼ばれているベトナムの現状に強い関心を持った。1年後、大学を卒業して大学院に進んだ彼女は、ベトナムを幾度となく訪れ、ベトナム語を学びながら調査研究をするため、この地で暮らし始めた。彼女の修士論文のテーマは「ホーチミン市における知的障害児とその家族への支援の現状」だ。
 スウェーデン、デンマーク、イギリスや韓国などを訪れた彼女がなぜ最終的にベトナムを選んだのだろうか? 彼女は「ベトナムの人々と美しい風景に魅せられ、この国で心から穏やかな気持ちになれたからです」と語る。両親や日本の先生方から資金を借り、ホーチミン市幼児師範学校やホーチミン市障害者青年協会の協力のほか、たくさんの人々の温かい支援を得て、彼女は知的障害者の社会参加を支援するカフェ「Hoa Anh Dao(桜)」をオープンした。仕事を持つことは、知的障害者が社会参加を図るための最良の方法だ。 このカフェでは知的障害者も一個人として尊重される。カフェ「Hoa Anh Dao」は2004年、ちょうどベトナムでは障害者の日にあたる4月18日にオープンした。それは彼女の故郷、日本で桜の花が咲き乱れる季節でもあった。
 「Hoa Anh Dao」を訪れた人々はスタッフの素朴だが心のこもったサービスを受け、日々の悩みや辛い出来事を忘れることができる。静かでこじんまりとした店内は、まるで古い絵画のような穏やかな雰囲気に包まれている。知らないお客さんが自分の方を見ているのに戸惑った知的障害のある女性スタッフは、江崎さんに走り寄り、首に腕を回して抱きつき、まるで愛する実の姉であるかのように彼女にキスをした。きっと江崎さんは、ベトナムの知的障害児から、毎日数え切れないほどのキスをもらっているに違いない。彼女は「彼らのとびっきりの笑顔、あるがままの姿がとっても愛しくて。みんな本当に元気いっぱいなんですよ」と微笑む。
 カフェをオープンする前、江崎さんは知的障害児とともにBinh Duong省にある陶磁器の会社を訪れた。彼らにカフェで使用するコップや皿に絵付けをしてもらったのだ。ある子は2人が並んでいる絵を描き、彼女に抱きついて「これは私。こっちは智里」と嬉しそうに話していたという。彼らの描く絵はとても愛らしく、江崎さんは自分の宝物のように大切に扱い、実際にカフェでお客さんに使ってもらっている。
 江崎さんが10日間ほど一時帰国した時のこと。日本からカフェに電話をすると、あるスタッフが「ねえ、智里。早く帰ってきて」と泣いていた。だがいざ彼女がベトナムに戻って来ると、今度は「もう智里なんか大っ嫌い。大っ嫌い!」と繰り返したという。私が「ベトナムの知的障害児と日本の知的障害児とでは何か違いがありますか?」と尋ねると、彼女は「どこの国の子どもたちも変わらずかわいいです。でもベトナムの子どもたちからは、言葉にできない大切な何かを教えてもらっています」と答える。
 映画監督のLe Dan氏は、ベトナムの音楽家Trinh Cong Sonについて描いた映画『愛と生』の中の会話のいくつかを、日本の若い学生たちにも親しめるよう彼女に翻訳を依頼した。Trinh Cong Sonをテーマにした映画を製作する監督と出会い、その制作を手伝うと知ったら、彼女の両親はとても喜ぶだろう。彼女の両親の世代にとって、この才能豊かな音楽家は非常に馴染み深い存在だからだ。また彼女自身も以前、映画の主人公のモデルとなったMichikoさんの娘さんを教えたことがあり、何か奇妙な縁で結ばれているようだ。
 私が「初めて来た時と比べてSai Gonはどう変わりましたか?」と聞くと「ここは急激に変化を遂げ、活気にあふれ、日本に負けず劣らず賑やかな場所です」と答える。彼女はここベトナムにしかない特別な何かを感じとっているのかもしれない。彼女は「今度のテトは、スタッフみんなと一緒にMui Neに遊びに行くんですよ」と嬉しそうに話す。Sai Gonというこの場所にすっかり魅せられてしまい、当分の間日本へは帰らないそうだ。私が「ベトナム人のお嫁さんになったらいいのに」と冗談を言うと、彼女はやはり微笑み、その笑顔はいつまでも絶えることがないようだった。

(Nguoi Lao Dong 新春特別号)

(2005/02/02 10:27更新)

※上記の情報は【ベトナム最新情報】より引用しています。

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