南北統一鉄道、車内テレビでCMを開始
年間延べ5百万人が利用する統一鉄道で広告を流せば、多くの企業が収益を拡大できるだろう――SEN社のHoang Tam Trang経営推進部長は、車内で娯楽番組とCMを流す“Rail TV”の構想を数年前から温めていた。サイゴンからQuy Nhonへ向かう車中で、「暇つぶしにテレビがあったらいいのに」という乗客の一言を聞いたことが、この構想を生み出すきっかけだった。
■“Rail TV”の実現まで
このプロジェクトはベトナム鉄道総公社との協議から始まった。Trang氏はSEN社が“Rail TV”サービスの独占権を持つことを条件に公社幹部に提案した。Trang氏は「公社側を説得できたのは、このサービスが持つ独創性とそれがもたらす効果によるものだと思います。車内で放送する番組には、単なる娯楽だけでなく、地域の発展や生活向上を目指した啓発的な内容も含まれるのです」と言う。例えば、娯楽番組の前後には、交通安全、麻薬防止、糖尿病の予防法やHIV感染者に対する配慮を促すような内容を盛り込む。
ベトナム統一鉄道総公社のVuong Dinh Khanh副社長は、「整った設備と広い座席を持ち、LCD画面を装備した急行列車の運行は長年の夢でした。娯楽番組の提供が加わることで、利用客の一層の増加が望めます」と語る。
SEN社がこのサービスの独占権を得て以来、Trang氏と同僚は一日も早い実現を目指して番組編成に勤しんだ。プロジェクト開始当初の数カ月は、社長以下、社員全員が統一鉄道に乗車することに費やした。Trang氏は「一般のお客様が見たい番組を調査するため、約3万7千人を対象としたアンケートを実施しました。回答者全員が車内での番組提供に賛成してくれました。同時に、歌、漫才、ドラマ、教育、文化、観光、アニメといった番組を優先的に流して欲しいとの要望がありました」と説明する。
このアンケート結果が、SEN社による番組編成の指針となった。Trang氏は「番組は、バラエティと魅力に富み、かつ内容が深刻すぎないものがお客様に喜ばれます。そして番組中にCMを流すことで広告効果も上がります」と話す。
構想から放送開始まで丸一年を要したが、あくまで初めの一歩でしかない。Trang氏はこれからが勝負だと言う。お客様に提供されるテレビCMの信頼性を高めることが次の課題となる。
■魅力の“同業種1社広告”と割安なテト期間の広告料
SEN社は、Saigon Times Services会社(STS)を代理店として、この“Rail TV”における広告に関する全権利を正式に委譲した。Trang氏は、「弊社としては、設備の設置や修理、車内で提供する娯楽番組の制作に集中したいのです。広告につきましても、STS社にお任せすることでより効果的なものが期待できます」と言う。現在、数十社が“Rail TV”と契約しており、中にはCoca-Cola、Dutch Lady、Starburst、Maxilite、LG、Vissanといった有名企業も名を連ねる。
広告主を納得させるため、総公社による調査のみならず、SEN社でも独自調査を行い詳しく分析した。乗客の年齢層、平均収入、職業、性別など調査項目は多岐にわたる。
企業が“Rail TV”に求める広告効果とは何か。それは、最初から最後まで番組を見てくれる乗客が一定数確保されているという点にある。また、統一鉄道はベトナムを南北に縦断しているため、自社商品を全国津々浦々に広告できる。さらに広告主にとって魅力なのは“Rail TV”が同業種1社に限定しCMを認めていることだ。つまりある1社が契約済みである場合、同業他社の商品は広告できないのだ。
現在“Rail TV”の広告料は、月900スポット(30秒/spot)が6,000ドルで、統一鉄道の乗客が増加するテト期間中の広告料は、1カ月でわずか4,500ドルと割安になる。
(Thoi Bao Kinh Te)
(2004/12/06 10:39更新) |