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知られざる工芸品デザインの光と影

 新しいデザインの商品が世に出るまでの道のりはじつに多難だ。消費者ニーズの調査や優秀なデザイナーを雇うため会社は多額の投資を行う。しかし資金力のない会社も多く、デザインの盗作が頻発している。
 ある工芸品会社社長は自社製品を盗作され悔しい経験をした。ドイツのフランクフルトで開催された展示会にジュートとスゲでつくったカーペットを出品したが、そのデザインをコピーされ、ほぼ確定していた230万ドル相当の契約をライバル企業に奪われてしまったのである。
 工芸品会社は盗作防止に、1)部外者を工場内に入れない、2)展示品の写真撮影禁止、3)デザイン部門の部屋への入室を禁じる、などの厳重な警戒態勢をとる。展示会ブースなどを含め、商品の盗撮をもっとも恐れているのである。
 流行のデザインをコピーして堂々と販売する会社は少なくない。コピー商品を作る会社のほとんどが外国製品のカタログを“お手本”にする。しかしこのようなやり方を続ければ、コピー被害を受けた外国企業から意匠権侵害で訴えられる可能性が高い。
 ホーチミン市のある木工品会社は商品をカナダへ大量輸出した際、一部商品が盗作と判断され窮地に追い込まれた。輸出した商品の中に海外で人気が高いパズル玩具のコピー品が含まれており、意匠権を持つ会社から訴えられ、すべての商品が販売停止になってしまったのだ。
 盗作が頻発する原因のひとつにデザイナー不足がある。通常、工芸品会社は顧客の希望デザインに基づいて製作する。Scansia Pacific社の木工製品は7割が得意先から指定されたデザインで、残りの3割が自社のオリジナルデザインだ。同社社長Nguyen Chien Thang氏はデザイナー不足で消費者を満足させる商品も少ないという現状について、「当社はデザインに自信がないわけではありません。ただバイヤーが買ってくれないのです。売れる商品のうちオリジナルデザインは1、2割に過ぎません。技術者は大勢いますが、才能のあるデザイナーを確保するのは困難なのです」と苦悩の面持ちで語った。
 このような状況でも籐・竹製品を輸出するBarotex Viet Nam社は順調に業績を伸ばしている。同社のホーチミン市副支店長は、「当社はほとんどの商品をお客様と共同で作り上げており、質の高いデザインを提供できていると自負しています。まずお客様に新商品をお見せして、そこで要望やイメージを伺い、テーマ、原料、色合いなども細かく打ち合わせて商品を完成させるのです」と話し、趣向の異なるイスの写真を見せてくれた。欧米人は明るい色で脚の長い椅子を好み、日本人は茶や黒のようなダークカラーで脚の短い椅子を選ぶのだという。
 既存の商品を見た得意先は自分なりのアレンジを指示することが多いが、試作と修正を繰り返して完成した商品の意匠権は会社側にある。これは会社にとっても大きなメリットになる。
 斬新なデザインを作り出すため、多くの会社が外国人デザイナーを起用している。Ba Nhat合作社(ホーチミン市Binh Thanh区)輸出課のNguyen Ngoc Thuy課長は誇らしげに、「当社には優秀なデザイナーが多数所属しており、人気商品も数多くあります」と語る。現在同社は4名の外国人デザイナーと契約している。デンマーク人と米国人のデザイナーは海外から電子メールでデザインを送り、またオーストラリア人とフランス人のデザイナーはベトナムに常駐している。Thuy課長は経験から、「デザイナー自身が消費者のニーズを理解していないと、新商品を売り込むのは困難です」と指摘する。
 Ba Nhat社は外国人デザイナーに高額なデザイン料と商品の売り上げによる歩合給を支払っている。同社がこの給与システムを採用したのは、相応の利益が上がるからだ。実際、彼らのデザインした商品の8割が顧客を満足させており、業績は確実に伸びている。また細部をおろそかにしない徹底した仕事ぶりも高い評価を受けている。彼らは週に2、3日は工場に泊り込み、技術者がデザインに忠実に製作しているかをチェックし、適宜修正も加え、商品を完成に導いていく。毎年Thuy課長は外国人デザイナーとともに欧米に赴きデザインの調査を行う。この視察を通じて同社は毎年3、4種類の新商品を開発し、売れ行きは好調である。

(Tuoi Tre)


(2004/11/25 02:26更新)

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