日本市場のニーズに合わせた木製品作りを目指す
ベトナム中部にある木材加工企業C社のA社長は、日本向け木製品輸出で苦い経験をした。「日本企業との取引には信用が何よりも大切」ということを新聞などでしばしば目にし、社員からも同様の指摘を受けていたが、当時は気に留めていなかった。しかし、現在は信用の重要さを痛感しているという。
以前、C社はある日本企業と長期の輸出契約を交わし、毎月40フィートコンテナ2〜3本分の木製品を輸出していた。しかし、2003年初頭に輸出製品の納期が遅れたため、それ以降の契約全てを解消された。A社長は慌てて謝罪のため日本へ出向いたが許してもらえず、日本人との取引には信用、特に納期の厳守が大切だということを思い知らされたという。A社長は、「出荷が遅れた時点で航空便に切り換えたなら納期は守れたでしょう。コストを気にして通常通り船便で送ったことを心から後悔しています」と語る。A社長は当時、長年の取引関係があれば1度の納期の遅れぐらい問題ないと安易に考えていたという。ところが日本では木製品輸入企業のほとんどが着荷後すぐに販売店へ卸すため、出荷の遅れは販売ルート全体に影響を及ぼしてしまう。商務省によると木製品の主な輸出先は米国、日本、EU諸国で、昨年の日本向け木製品輸出額は1億3,800万ドルと木製品輸出総額の24.3%を占めた。
同省アジア太平洋地域担当部のNguyen Hai Tinh副部長によると、ベトナムにとって日本は大きな輸出市場であるが、日本でのベトナム木製品のシェアは依然として小さいという。寝室用家具で11.7%、オフィス用家具は約1%に過ぎず、中国、インドネシア、タイ製品に比べ低いシェアとなっている。Tinh副部長は、日本市場には米国やEU諸国と異なる点が多いと話す。例えば米国では固めの木材(特に北米産のもの)を使用した製品が好まれるのに対し、日本では柔らかめの木材が好まれるという。またEU諸国ではアウトドア製品の需要が高く、日本では室内用家具が多い。しかし、ベトナムでは固めの木材で室内向け製品を生産する企業が多いことから、日本市場への参入を考える企業は原料やデザインなどを変更する必要がある。また日本の住宅は小さく、畳敷きの和室もあるため、これらの特徴に合わせた商品開発や、日本文化の理解、日本人の嗜好についての研究も不可欠だ。これらは時間と労力を要する作業だが、必ず成果を生むはずだ。
Hung Yen省にあるGo Yen Son株式会社のBui Hoang Ha社長は日本向け輸出を始めるにあたり日本人の嗜好を研究し、昨年から柔らかめの木材をロシアや東ヨーロッパから輸入し商品開発を行った。その結果、同社のフローリング床材やドア枠の日本向け輸出は月額60万〜70万ドルに上るという。Ha社長は、日本人の嗜好全てを把握することは難しく、直接意見を聞くのが良いと考え、日本の取引先企業から日本人の専門家を招き生産工程について指導を受けているという。
ベトナム木製品生産企業と日本の取引企業との間で7月末に会議が開かれた。席上、日本の木製インテリア製品協会代表は、国内景気の低迷で、日本の木製品生産および取り扱い企業の多くが破産し、製品価格は大幅に下落したと述べた。企業存続のために、日本の木製品輸入企業はベトナムを始めアジア各国から低価格で木製品を輸入しており、さらに生産請負先を賃金が安い海外に求めているという。今後は、ベトナムの木製品生産企業は日本へ輸出を行うだけではなく、市場ニーズに合わせた商品開発や技術面で日本企業と協力体制を強化する必要があるとの意見が出された。
(Thoi Bao Kinh Te Sai Gon)
(2004/09/10 09:53更新) |